偏食
睡ればそれまで。それまで、
……其れまでは。
*
ずるりと重い熱に浮かされたように、瞼を少し開けた。お気に入りのネイルと
離れた口付けの後に滑らかに首筋を泳いだ指先は、そのまま顔の方に動いて、柔い粘膜に手を付けた。舌を指で押さえ込まれて、摘まれて、緩く撫でられる。ひとつひとつの動きに、私の吐息は丁寧に跳ねる。欲しい。ただ、この指が、この手が、この腕が、この体が、欲しい。あんまりに
あぁ、そんな事なら、どうせなら。せめて何もかも、あなたのモノになれたら、いいのに。柔く苦い香りを喉の奥に抱えたままで考えていた何かは、彼の熱と私の声でかき消された。
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