それを悪と呼ぶ勿れ
何をしてもその一言で許される一時を生きた。今はもう、法律というルールにしっかり縛られる拾年と八つ余りの私である。
例えば花を手折っても、例えば泥に嵌っても。例えば物を盗んでも、例えば家を傷付けても。例えば、人を傷付けても。
それは全て戯だった。戯と言えば許された。その時確かに、私が世界で一番偉かった。
多分、私だけじゃなかったのだろう。世界で一番偉いと、思いながら戯をする人間は、恐らくこの世にごまんと居ただろう。
それでも、その時の私は確かに、世界で一番に偉かったのだ。
何をしてもその一言で許される一夢を生きた。今はもう、法律という鎖に名ばかり縛られる、拾年と八つ余り。永らく眠れる丁度の今に、刃を研ぐ私である。
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