第21話 盗賊家業
例えばだ。
町と町まで3日から4日掛かるし、街からか街まで1週間は掛かるとしよう。
そこで、通行人が、突然消えてる。
原因不明だ。
果たして、その通行人が消えたのが、分かる人がいるのだろうか。
果たして、その通行人が消えたと、分かるまでどれぐらいの時間が掛かるのだろうか。
町から町までなら、往復で1週間。
滞在時間を入れると、もう少し。
街から街までなら、2週間以上も発見が遅れるだろう。
この世界には通信技術は発展していない。
いや、発展はしているか。
テレパスという魔法でのやり取りか、もしくは、魔道具と言われる特殊な道具が必要だ。
一般的には復旧していないが、正しいだろうか。
テレパスという魔法も使える人は一握りだという。
無属性魔法の使い手は凄く少ない。
その分、強力であり無二の力を発揮するらしい。
まーそれはいいのだが、これだけの情報の遅れは、対応に遅れが出る事は間違いないだろう。
相当の成果が、期待できる。
実際、通信機器を持っているのは、1つのギルドで1つぐらいだ。
冒険者ギルドや商人ギルドでも、事実確認が取れるまでの時間もいるだろうし、原因調査でも時間がかかるだろう。
速くて1ヶ月、遅いと2ヶ月以上、掛かるのではないだろう。
盗賊稼業は最高かもしれない。
アイテムに、ダンジョンポイント、街に流す武器防具。
金になる話だろう。
それと、街に放っているキラーシャドウでも分かるのだが、ダンジョン外で人類を殺害した時は、ポイントが少ないように感じる。
だいたい一人100ぐらいになる。
ぐらいってのは、全員が100ではないって所だ。
たまに150貰える人もいる。
はっきりいって理由はよく分かっていない。
いや、でもダンジョンポイントが経験値からくるとするなら、レベルかもしれない。
最低が100でそこから強さによって得られるポイントも変わる。
そんな所だろうか。
キラーシャドウはまだ捕まらずに稼働している。
元々隠密性が高く、ばれにくいのだ。
これなら数を増やして、住民の虐殺を多くしてもいいかもしれない。
いや、調子にのるとよくないか。
夜に出歩かなくなってもよくないし、自重も大切か。
キラーシャドウが見つかる可能性だが、勿論ある。
冒険者や騎士達はレベルが上がると色々なスキルを身につける。
その1つが看破になる。
対象を認識して、スキルを使うと相手の詳細が分かるらしい。
自分自身にも使われるとバレるので、冒険者や騎士には近づきたくないものだ。
スキル看破は中級冒険者以上になると取れるようだ。
取れるってのは、SPというスキルポイントを使用して取ることができる。
まだ自分自身がレベルが上がってないので、実際にSPを取った事がない。
そのSPを使って取得できる中に看破があるようだ。
今回レベルを上げたいと思ったのも、そういった理由もあるのだ。
あれからさらに1ヶ月ほど経っている。
魔族奴隷には、色々教え、手筈を整え、準備は整ったといっていいだろう。
モンスターも再召喚し、今では外にいるモンスターも10を越えている。
今回のラインナップは以下の通りだ。
グレーターファング 5体
マジシャンピエロ 2体
ギガンドゴーレム 2体
グリフォン 3体
ランクは全員、ランクCだ。
マジシャンピエロは、魔法のに特化している。
唯一、火、土、雷を使いこなす、生粋の魔法使いだ。
マジシャンって手品では?って思うが、そこはいいのだろうか。
マジシャンをするように、魔法を使うのかもしれない。
まーいいか。
召喚するのには、結構苦労した。
こいつこそ、総当たりで出たモンスターだ。
この場合、親(でいいのか?)は、ランクDのデーモンとランクDのロックマンだ。
デーモンとロックマンの配合は割合する。
デーモンは悪魔族でロックマンは無機質族だ。
だからか、マジシャンピエロは悪魔族になっている。
容姿は、人形ヒトガタだ。
顔に白粉を付けているかのように白く、色鮮やかなマークが顔には入っている。
鼻には真っ赤なボールが着いていて、帽子はウサギハットの様なものを被っている。
服装もちぐはぐな感じるだ。
次にギガンドゴーレムだ。
ギガンドゴーレムは、ゴーレムから進化した個体になる。
その身体はでかく、堅い。
金塊で出来ているのかというほど、黄色く鮮やかなだ。
防御力が高いので壁役になるだろう。
親はアイアンゴーレムと自爆岩だ。
共にランクがDで、無機質族になる。
最後にグリフォン。
グリフォンはよく物語りで出てくるような出で立ちだ。
飛行も可能とするので、取り逃がしがないように、連れていく事にした。
彼?の親は、ひくいどりとワイルドファングだ。
グリフォン自体、キメラのような物だし、分かりやすいだろう。
鳥と犬を足したらグリフォンだ。
それと魔族奴隷だが、彼等は闇魔法が得意だ。
その点は、イリナとミサカとも共通している。
彼等の装備は、少し迷った。
剣を持たせたり、弓を持たせたりしようかとも思ったが、止めた。
彼等との得意な戦闘技術は何かと聞いた所、やはり魔法らしく、頭まですっぽり被れる布を要因して、フード付きロングコート仕様にした。
魔法使いルックだ。
形から入るのって重要だと思う。
特にスタッフなどは要らないようだが、あったらあったで、魔法を使う上で助かるらしいので、容易した。
それと彼等魔族は、モンスターと仲良くなりやすいのかもしれない。
初めは恐る恐るって感じだったが、今では距離感も近く、面倒見がいい。
魔族の自体、世話焼きな種族なのかもしれない。
《千里眼》で、よさげな獲物を探す。
ポイントとしては、襲撃にかかる時間から撤収までの時間だろう。
街道に通る人はそこまで多くないとはいえ、目撃されないように注意が必要だ。
襲撃の時間帯は、日が沈んで、だいぶ夜がふけてからになる。
魔族の特性上、どうしてもそうなるが、夜襲の方が目撃者も少なく勝手がいい。
まったく夜に動く人がいないって事もないが、非常に少ない時間帯だ。
それがいいだろう。
《千里眼》では、こっちら側のも、夜の見通しが悪い。
夕方にターゲットを絞り、移動。
その後、周りの状況把握が済んでからがらベストだろう。
襲撃する規模は、初めは馬車1台分が妥当だろう。
回数を重ねる上で、大きくしていこう。
現在は、そういった理由から、移動し現状把握を済ませた。
そろそろ襲撃をしよう。
今回のターゲットは、護衛が6人、商人3人だと思われる。
服装から判断しているので違うかもしれない。
夜飯を食べ終わり、雑談している様だ。
まずは、足の遅いギガンドゴーレムを先攻させる。足が遅いとはいえ、腐ってもランクCのモンスターだ。
人並みの速度では移動出来る。
問題は、隠密性が皆無なぐらい地響きもする所だ。
隠すことを前提にするなら使わない方がいいだろう。
「敵襲ー!全員武器を持て!モンスターだ」
敵の見張り役を、していた者だろう。
相手の冒険者が立ち上がり、武器を構えている。
先制攻撃は、どうせ出来ない。
逃げ出す事が出来ないほどには近づいただろう。
「こ、こいつはギガンドゴーレム!!なんでこんな所に、居やがる」
「言ってる場合か!くそ。ケビンとカイルは護衛に回れ!」
「「すまねー!」」
ふむ。
相手の冒険者は、四人になるようだ。
相手を見て陣形を変えたか。
悪手だ。
陣形を変えるまでに時間を使いすぎだし、増援の警戒が足りないな。
ならこちらから先制攻撃をさせてもらうとしよう。
ギガンドゴーレムの前に立つ盾役のドワーフ(だと思う)をマジシャンピエロで攻略をしていこう。
マジシャンピエロに魔方陣が浮かびあがる。
雷の魔法を唱えたようだ。
壁役に向か、電流が迸る。
「ぐあぁぁー!!」
まともに魔法を食らったようだ。
盾を落とし、膝をついている。
そこにギガンドゴーレムが、走りより、拳を降り下ろす。
「ガハッ」
「サイラスー!」
リーダー格の男が吼える。
盾役を潰したようだ。
起き上がる気配はない。
これで、残り3人。
仕切り直しか。
「ドミニカ!サイラスに治癒魔法を!ケビン!カイル!手伝え!後ろにいる魔法使いを回り込み捉えろ!」
「はい!」
なるほど、モンスターと戦うなら悪くはない指示だ。
しかし言葉が分かるとこうも有利になるものか、作戦が筒抜けだ。
各個撃破に移らしていこう。
グレーターファングを両翼に展開しつつ、ギガンドゴーレムを押し出す。
グレーターファングはマジシャンピエロの護衛とギガンドゴーレムの補佐の予定だったが、いいだろう。
中央の残りの3人は、見た所、リーダー、魔法使い、回復魔法使いだ。
「な、んだと。まだファングがいやがるとは。ケビン!カイル!そっちは任せるぞ!」
冒険者の魔法使いに魔方陣が浮かぶ。
「レインアロー!!」
2体のギガンドゴーレムに当り、足を留める事になった。
範囲攻撃だ。
彼等は中級冒険者なのかもしれない。
魔法もレベルが上がると使える魔法も増えていく。
今のは、レベルが10以下でだいたい取れるはずだ。
ギガンドゴーレムは物理攻撃には強いが、魔法には弱めだ。
体力が多いので、まだまだ大丈夫だろう。
ギガンドゴーレムにリーダー格が、躍りかかる。
彼の得物は、ピコハンのようなハンマーだ。
勿論ピコってなるようなハンマーじぁない。
金槌のでかい番か。
「くそがぁーー!」
ギガンドゴーレムも冒険者に気づき迎え撃つ。
身体を大きく反らしたテレフォンパンチだ。
勿論、避けられやすい攻撃だろう。
が、向こうも攻撃範囲内だ。
質量を乗せたパンチは、冒険者を吹き飛ばした。
「ぐはぁぁ」
リーダー格の男は、血を吐き、膝をつく。
魔法使い達のいる後方まで飛ばされた。
ギガンドゴーレムの腕力は相当だろう。
さて、ここまでだろう。
チェックメイトだ。
再度、マジシャンピエロに魔方陣が浮かぶ。
今度は2体同時になるようだ。
視界一杯に広がる火だ。
火炎放射機のような魔法が、冒険者を飲み込む。
火だるまになって叫ぶ中央の冒険者達は、これでお仕舞いだ。
どうやら両翼に展開していた、グレーターファングも終わったようだ。
冒険者の喉を噛みつき、くわえている。
まだ生きているのか、弱々しい動きを見せているが、次第に動かなくなるだろう。
商人の方は、途中で逃げ出しているが、グリフォンが狩っている。
さて、荷物を纏めて、撤収だ。
あとは魔族奴隷に任せよう。
魔族奴隷の出番はなかったが、初戦なのでいいだろう。
これからは、彼等が足止めの魔法とモンスターに指示をしてもらう。
モンスターと魔族奴隷に言い残し、俺はダンジョンに帰った。
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