第10話 ご利用は計画的に
甲冑兵士が攻めてきてから半月ほど、経った。
いい加減、外に出たいと思う。
仕事明けで磨り減っていた、やる気精神も流石に回復の兆しだ。
マジそろそろ誰かと喋りたい。
1ヶ月近く、部屋でゴロゴロしているのだ。
いやでも、飽きる。
あれから、ダンジョンには、一人も入ってきていない。
ダンジョン前にいるのに、なぜ攻めてこないのだろうか?
ダンジョン内で出来る事は限られる。
モンスターを進化させたり配合させたりは、楽しいけど、手持ちはちょっとづつしか増えない。
甲冑兵士のDPとLPは即効使っちまったしな。
まーいい、その話は。あとだ。
いややっぱ話しておこう。
俺はばかだ。
いや良かった事から話そう。
やつらは大所帯でダンジョンに来て、罠に綺麗にはまるわ。大部屋に来てはめ殺しにあうわで、見ていて爽快だった。
片側の部隊は、すぐ逃げて半分取り逃がしたのは、痛かったが、まあいいだろう。
もう片側のグループは、さらに分岐してまた半分になって大部屋にて全員消滅した。
なんてアホなやつらだ。
モンスターは程々に分布を決めてある。
せっかく罠に嵌まったのに、スライムが遠出していて、略奪者共を倒せないのは嫌だ。
余り動くスペースのない所に、ずっといる事になるが、やつらはちゃんと命令を聞いてくれるので助かる。
スライムは口がないし、本当に丁度いい。
今回は取得したDPとLPは18000だ。
合計でDP21005、L20780にもなった。
ここまでは良かった。
そら浮かれてた。
こんなの見たことなかったしな。
で取り敢えずDPは、ほとんど現状使わないからLPに変えたのまでも、良かった。
浅はかだったよ。
LPが40780になってさ。
これはデビル スライムを研究しろとの神の啓示!
とか思ってしまった。
本当にアホやなー。んなわけないのに。
出来たモンスターはデビルキングスライムだった。
召喚コストはなんと、LP2500。
で現在のDP1005、LP780。
全部使っても召喚出来なかった。
てか後々の為にも残しながら計画的に使っていかないと詰む可能性すらあるのにだ。
召喚コスト高すぎだろ。とか、どんだけつえーモンスターになるんだよ。とか、今攻めて来たらどうしよう。とか、良いような悪いような、なんとも言えなかった。
とりあえず今すぐ攻められてスライムが一掃されたら、このダンジョンは終わる。
冷や汗が出たが、後の祭だったのだ。
幸い、もう一度、兵士達が攻略に乗り出してくる事もなかったので、良かったが。
3日はやる気が出なかったのは、ここだけの話だ。
本当にDPとLPは計画的に。だ。
閑話休題
まー何はともあれ、外に出たいって話だ。
モンスター達は話を聞くというよりは、命令を聞くって所だ。
やつらのそれは僕と変わらん。
もっと知性があり、人形ヒトガタ種になれば変わるかもしれないが、まだまだかかりそうだ。
《千里眼》で街の隅々まで見たから、なんとなく地形も覚えた。
多分あそこが冒険者ギルドだ。とかあそこが商業ギルドだ。とか奴隷市場あるじぁんとか。
かれこれ1ヶ月ぐらい経つのだ。
いやでも覚える。
外に出る準備は、万全なのだ。
あれこれしつつ、ダンジョン脱出計画をねった。
半月経ってようやく外に出れそうな案件がやって来た。
見つけたぜ、突破口ー!
それは多分冒険者じゃね?って3人組が来たのだ。
ダンジョンに来て、慎重に進みながら罠の有無を調べて行った。
今回、俺が外に出る案としては、思い付くだけで3つ。
1つはゴブリンを大量発生させて街に突撃させる。便乗しスキル、隠密での脱出。この場合、街側からアクションがない限りダンジョンに戻れない。
2つ。冒険者に紛れて出てみよう作戦。冒険者を生け捕りにしてスキル、変身にて偽装成り済まして出る。この場合、見知らぬ人に声をかけられる可能性あり。
3つ。夜襲。スキル、マインドコントロールにてダンジョン前の部隊を吸収。この場合、アホな兵士が量産されて怪しくなる気配。余計ダンジョンに来なくなるかも。
って所だ。
で今回は2つ目に該当する。
生け捕どるのは、少し先になるだろう。
ボーナスもまだとってない。
状況変化に合わせるのが、いいだろうという判断だ。
彼らはスライムが多く生息する大部屋の池には入らず、迂回しながら行けるとこまで行った様子。
地図らしき物を、作成しながらの隠密行動だ。
現在の1階層目は、池3つ。
大部屋も3つ、中部屋5つ、小部屋10だ。
池は全部、大部屋にしてある。
特に理由はない。
因みに迷宮は1階層完成後も大きくなってるぽい。
初めの10日間に比べればかなり遅いが。
それとまだ3階層目は出来ていない。
初めが10日だとすれば次は15日から20日の予想だ。
もうすぐで、さらにもう1つ、ボーナスを取得できる枠が増えるかもしれない。
で、俺はやつらがこれから通るだろう、所で待ち構えている。
イベント発生だ。
イベント発生の原因は俺だ。
ここ最近、外に出て何をするかで頭が一杯な俺は危険を犯してまで奴等に近づいたのには訳がある。
言語だ。
要するに話せるか聞けるかだ。
俺は日本語オンリーなんだよ。
外国人とかこえーんだよ。
思わずシカトするレベルだ。
知らない人とは喋ったらダメなのだ。
まーそれはさておき、スライム君を3体ほど突撃させてみた。
曲がり角ギリギリで、待ち伏せる俺。
近づいてくる冒険者。
スライムが襲撃。
冒険者の言葉確認。
俺、逃げる。
ってイベントだ。
もちろん最後はルームに逃げる。
マジ安全だ。
イヤ、ヘタレやないからね!
安全とっただけやし!
てか正直な所、姿を現すのも不味いと思える。
兵士殺害に村人殺害の親玉だ。
確実に死罪になる。
つーか見つかった時点で、指名手配まっしぐらだろう。
それ、ダメ。絶対。
それとまだまだ冒険者に来てもらわないと、旨味がない。
圧倒的に人を倒した方が、実りがでかいのだ。
村人遍と騎士遍でもわかるが、村人を倒した時は4800DPほど増えて騎士に限っては18000DPだ。
強さとかレベルが関係して取得出来る量感が違うのかもしれない。
村人と騎士の差はよくわからないが、1日240DPの自己生産より絶対はやい。
騎士に限っては18000DP÷40人=450DPだ。
1人倒せば1日分以上をゲット出来る。
もっともっと来てほしい。
そして今回の冒険者にはいい思いをして帰ってもらって宣伝してほしい。
なのでセカンドスライムを召喚して突撃だ。
スライム達は水の上だと本当に早い。
おかしくね?って速さだ。
って《ステータス》みたらAGI ×2だってよ。
地形効果ありすぎだ。
まーいいが、冒険者は危ないながらも助け合いながら勝利したっぽい。
地味にダンジョン内で、モンスターが死んだのは初めてだ。
マイナスLP60。
まーいいか。
セカンドスライムは倒されると煙がでてアイテムに変わった。瓶づめの何かだ。
近くで見ないとわからないな。
しかしゲームみたいだ。
死体も残らずアイテムに変わる。
非現実的だ。これがファンタジーの力か。
それで言語はわからなかった。
え?俺、やばくね?
と途中で気付いた。
なので、即座に《変身》を取得してみた。
彼らの中の一番のイケメンに変身だ。
あっ。言葉分かるわ。
てか記憶もある。
うわ。不思議。
自身の記憶と変身した相手の記憶が2つある。
流石ボーナス。流石完全変身。
これで外に出て、あんた誰?ってなんない。
そんな事やってたもんだから、いつの間にか戦闘終わってた。
危なく見つかる所だった。
こんなので見つかるとかアホすぎる。
まーセーフかな。
《ルーム》に帰って冒険者の記憶を掘り起こした。
まず記憶があるだけで思い出そうとしないと思い出せないのだ。
しかもその内容はかなりの虫食いだ。
10年以上前の事を完璧に覚えてる人間なんていないのだろう。
最近の事はよく覚えてるから、その辺から見ていく。
ふふふ。
暇潰しを見つけたぜ。
あとはさっきのトリオが帰ってスライムのアイテムを換金してくれれば、もっと冒険者がくるだろう。
なんたって近いからな。
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