「選」と「撰」のどちらをえらぶ

・選

 『支那文を讀む爲の漢字典』では(以下、漢字典。括弧内は私の補足。正字を一部改めた)、

①多數の中より少數の精美なる者を簡取するを選といふ

②古人の文を甄録シンロク(はっきりと記録)し以て一書を成せる者を選と謂ふ

とある。


・撰

『漢字典』では、

①具なり(そなえる)

②辭(辞)をつく(属)り事を記すを撰といふ。

③持なり

④選なり


 日本では、選のえらぶ対象が薄れ一般化し、撰は選の②の意味で用いられている。

 言い替えると、撰は④の意味の一部でしか用いられていない。

 撰が選の意味で使われはじめたきっかけは、手書きをする時に、辶より扌のほうが楽だったからだろう。


 日本では、新組か新組かの論争があり、どちらも正しいということで落ち着いているが、言葉のうえだけならば妥当であろう。

 正式という話になれば、公式文書の使用頻度でえらべばよい。



 なにが正しい言葉の使い方かは、時代と人によってちがうもの。

 万事なんでもそうで、新選組をテロリストとみるか忠義の士とみるかは、時代と人でちがう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る