「国境」問題を考える

1.こっきょう。

 ①国と国との境。異なる国家間の境。

 ②〔法〕国家と国家との版図を区画する境界線。国家領土主権の行われる限界。


2.くにざかい。

 国と国との境界。

 ⇒国境(こっきょう)


 広辞苑(その他の辞書)は、読み方で基本的に意味は変わらないスタンス。

 しかし、中高年の中には、(近代)国家間の境界以外の意味合いで、「こっきょう」と読むのを嫌う人がいる。そういう人たちには、川端康成『雪国』の冒頭、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた」は、「くにざかい」でなければならないようだ。


 「こっきょう」派と「くにざかい」派に分かれている、『雪国』の国境問題については、川端康成が読みを明示しておらず、また、どちらかを排するには決定打を欠いているため、どう読むかは読み手が決めればよいと考える(「こっきょう」派が多数で、私も「こっきょう」とするが、「くにざかい」派の言い分もわかる)。


 ついでに書くが、『雪国』の冒頭を読んでいて、もうひとつ疑問が浮かんでいた。

 雪国はセッコクとは読まないが、なぜだろうか。

 もちろん、漢文・漢詩の中で出てくれば音読みするが、漢語では雪国という言葉は使わないのだろうか。

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