奇なりの裏正面

字に生き、絵に暮らす 僕らは

所詮しょせん 彼らの 創作物で まがい物 なのでした。

事実は小説より奇なりと、人々は 僕らを あだおろそかに思うのです。


創造者は 僕らに心を持たせ、だのに 形を与えないままなのでした。

売れるのは諦めないヒーローだと、

泣けるのは誰かの非業ひごうの死だと、

隣には主人公に助けられたヒロインをと、

相棒は身をていして主人公を守れと、

台本には 人生と 感情が 書き記されておりました。

誰かが台本通りにいとなむ度に湧く歓声は、創造者に向けてのものなのです。


ために生くる事も、ために死ぬる事も、

いとやすき事かのように語られる世界で、

僕は どうにも 悲しくなってしまうのでした。

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