鬼の呵呵

冬晴れの 淑気しゅくき産声うぶごえ ひとつ

が立つ 外に 花は咲き 浮かぶは ただ 散りゆく 花びら

夢を見ないままに五月雨さみだれ らす双脚そうきゃくと 映る おのれの 顔を見る

かえいきれを しのび うつむく私は 夏の蒼空そうくうを 知らず

蝉吟せんぎん硝煙しょうえんを手で払い かみなびく 風は乾いていた

月明かりに 空を あおぎ 空の高さに 邁進まいしん

いろど結実けつじつ今際いまわを知らせ 落葉らくように 吐く息は 白く 昇る

世界は 皚皚がいがいいろせ ようようとして 山水風月さんすいふうげつの美しきを 知る

ほぞみ手を伸ばせど うにそこになく く年はふくさず

除夜じょやとばり遠音とおねは泣き声 細く 幽明ゆうめい さかいに 消え果てた


たる年は どうか、

聞いてくれ

る年は どうか、きざす芽に感じ、 繚乱りょうらんに心躍らせよう

来年らいねんはきっと、碧落へきらくに手を伸ばし、 紅葉こうように心安らぎ、 降雪こうせつを静かに眺めよう

来たる年よ きっと、


鬼が笑う

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