第237話 銀髪褐色の深窓の令嬢(3)
しばらくしてから、扉がノックされ出てみるとダークエルフの女性が立っていた。
「カズマ様。エウレカ様が、祝宴を催したいとのことです。ご参加、出来ますでしょうか?」
「分かった。全員か?」
「はい。カズマ様と奥方様、そして従者の方、皆様をご招待したいとのことです」
「そうか。――ということだ。すぐに用意してくれ」
俺は振り返り、リビングから此方へと興味津々な表情を向けてきていたエミリアやイドル、リオンに声をかけた。
祝宴は1時間ほど後と言う事だったので、女性陣はドレスを身に着けることになり――、そこにはリオンとイドルも一応は変化は女性型なので、エミリアが指導することになったが――。
「孫にも衣装というのはこういうことを言うんだな」
褐色の肌に、金髪という派手さが売りなイドルであったが白のドレスを、しっかりと着こなしているのは、少し驚きでもある。
「魔神様、我はコレでも長く生きております」
「つまり、そういうドレスを着た事もあるということか」
「さようです」
「なるほどな」
ちなみにリオンは、幼女体型と言う事もあり、フリルのついた青いドレスを身に着けているし、エミリアに至っては、ワーフランドの王女と言う事もありドレスの着付けから所作まで完璧だ。
良く知らんが――。
まぁ、俺達を迎えにきたダークエルフの女性が感嘆の声を上げていたのだから、問題はないと思いたい。
エウレカの家へと招き入れられたところで、祝宴が始まる。
祝宴に参加しているダークエルフは10人ほど。
見た目からして、アルドガルド・オンラインに登場したNPCばかりというのは一目で分かる。
おそらく、この祝宴は、エウレカなりの政治的駆け引きの場なのだろう。
「カズマ殿の奥方と従者の方々は美しい方ばかりですね」
「そうだな」
向こうから先制とも言わんばかりのジャブを打ってきた。
エウレカは、俺がエミリアにサーシャのことを聞いたのか? と、確認したいようだな。
「エウレカ」
「何でしょうか?」
「先ほど、提案頂いた内容だが――」
「サーシャの件ですね?」
「ああ、第二夫人という形で迎い入れることは可能だろうか?」
「本当で?」
「第一夫人でないとアレか?」
「――いえ。他の従者の方は、それぞれ竜族の方ですよね? それを差し置いて第二夫人という形で受けて頂けるとは思っても見ませんでしたので……」
どうやら、エウレカ側としても法外な内容だったらしい。
それなら、話はスムーズに進みそうだな。
「それでは、妹のサーシャを宜しくお願いします」
「こちらこそ――。――で、サーシャ嬢に関してだが、体が弱いと聞いているが、その点を踏まえると、俺がワーフランドに到着したあと、色々と問題が起きると考えているから、それら細かい問題が片付いてから、輿入れした方がいいと思っている」
「たしかに……、ダークエルフ族としても、ワーフランドとの同盟を考えて、色々と準備が必要であるし……」
「では、サーシャ嬢とは婚約と言う事で大丈夫か?」
「もちろんです」
俺とエウレカの話を、俺の横で黙って聞いていたエミリアの方へと視線を向けたが、彼女は何も言って来なかったので、これで問題ないのだろう。
さて、これで一応はダークエルフとの問題は片がついたというところか。
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