第220話 王族同士の会談(2)
「これはエミリア王女殿下、お待ちしておりました」
「この度は、このような場を設けて頂きありがたく思います。シルフィエット女王陛下」
侍女に案内されたエミリア。
入室した彼女を待っていたのは、リーン王国の女王陛下であるシルフィエット・ド・リーンであった。
他には、国の重鎮が3名ほど控えている。
挨拶を終えたあとは、二人で部屋の中央に用意されていたテーブルを囲み座る。
そして国の重鎮の3人とリオンは、それぞれ部屋の壁の華となる。
「まずは、今回、リーン王国を救って頂いたことを感謝致しますわ」
まずは口火を切ったのは女王からであった。
「いえ。こちらとしても、魔王軍とは因縁浅からぬ間柄でありますので」
「そうですか。魔王領とは隣接しておりますからね」
「はい」
「ところで、エミリア様の伴侶のカズマという殿方ですが、国の許可は得ているのですか?」
「どういう意味でしょうか?」
「――いえ。ワーフランドの王族は血縁を重視していると伺ったことがありますので……、今回は、我が国内の人間との婚姻ということで話を聞いておりますから、その点を踏まえまして、これから軍事同盟を組む予定の国にあらぬ詮索をされてはと思いまして……」
シルフィエットは、遠回しにリーン王国の人間が、ワーフランド王国の王族と結婚するのは、危険なのではないのか? と、匂わせる。
国同士の問題に発展する事にもなりかねない事であったし。
何よりもリーン王国から、魔王四天王どころか元・勇者すら討伐した戦力を他国に取られる事を警戒したからというのが大きい。
そのために、遠回しに自国の人間とエミリアとの婚姻は問題ないのか? と、問いただしたのであった。
「カズマは、リーン王国の者ではありませんので問題はないと思います」
エミリアも、女王陛下の指摘には気が付いていた事もあり、すぐに切り返す。
「エミリア様、カズマが冒険者登録をしたのは、港町ケインの冒険者ギルドが初めてだと伺っていますが?」
「それは、そうですが……」
「それと話は伺っていましたが、港町ケインの冒険者ギルドから、カズマは身分証明書を保持しておらず初めて作られたとのこと。――と、なりますと、公的には、我がリーン王国の住人と為されるのが本来の形であると思います」
「女王陛下。失礼ですが、カズマはアルドノアの衛星王国の一つ、テロメア王国の王都カルバストロで会っています。ですので、リーン王国の国民であるという主張は無理があると思います」
「それは個人的な見解であると言う事は……」
その女王陛下の言葉にエミリアは――。
「存じております。ただ……、それは、あくまでも冒険者ギルドの見解に過ぎないのではないのですか?」
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