第100話 城塞都市デリア(6)
「――で、でも危ないです……。助けてほしいですけど……」
「大丈夫よ。ミエルちゃん」
「――え?」
「私の旦那様は、とても強い冒険者だから」
「うむ。妾のマスターは、普通のドラゴン程度では瞬殺されるからの」
「おい、二人とも、俺の情報を開示するのを少しは自重しろ」
まったく余計なフラグが立ったらどうするんだ。
俺は平和に穏便に何の問題や面倒事に巻き込まれずに平穏に暮らしたいだけなのだ。
「とりあえず、ミエルはリオンの傍から離れるなよ?」
「は、はい……。で、でも私も一緒に……」
「行かない方がよいと思うぞ」
「えっと……」
「リオン様と呼ぶがよいぞ! 小娘!」
「あなた、私より小さい……」
「小さい言うな!」
たしかに、リオンは美幼女と化していて、12歳くらいの少女のミエルと比べれば年は見た目としては下に見えるだろう。
まぁ、本体である中身は20メートル近い水竜アクアドラゴンな訳だが……。
「とりあえずだ。ミエルとリオンはここで待機。倒れてるゴロツキどもを監視しておけ。これは命令だ」
「了解しました。マスター」
「はい……」
納得いかない様子のミエル。
ただ、拉致監禁されている場所がどうなっているのか分からない以上、警戒するに越したことはない。
「いくぞ。エミリア」
「はい」
すでに、場所については判明している。
白い大理石の建物。
しかも、かなり大きい。
建物の大きさから相手は、かなりの大物だというのが、スキル『イーグルアイLV10』にて確認が取れている。
だからこそ、ミエルを置いていくという選択を取った。
本当はエミリアも置いていきたかったが、まぁオークを数十体一人で倒せる力があるのなら大丈夫だろうと考え、一緒にいく。
町の中は建物が密集していることもあり、俺とエミリアは人外外れた身体能力を生かして建物の屋根から屋根へと飛び移っていく。
そして――、白の大理石の建物を囲うようにして3メートル近くの壁が囲っている目の前に、建物の屋根上から跳躍し着地。
「ミエルさんに近い匂いを感じます」
「そういえば獣人は――」
「はい。五感は優れていますので」
「そうか……。どうやら、ゴロツキが話した内容に嘘偽りはないようだな」
――なら! 手加減はいらないな。
「派手にいくぞ! レベル7の雷属性魔法! レールガン!」
アイテムボックスから取り出したダガーを空中に投げると同時に電磁場を形成し超電磁砲をぶっ放す。
オレンジ色の光を纏ったダガーは弾道と化し、前方の巨大な門を粉々に吹き飛ばした。
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