第101話 デリア総督府消滅(1)
周囲に衝撃波が撒き散らされると供に、門の破片が無数の塊となり散らばる。
「――な、何がおきたんだ!?」
直後に、男達の声が聞こえてくる。
それを聞きながら、俺は正面突破をするために歩を進めながら口を開く。
「エミリア」
「はい」
「俺が派手に動いて敵の注意を引くから、エミリアはこっそり敵陣に潜入してミエルの身柄を確保して脱出してくれ。相手が、状況的に不利になった時に人質に取られたら困るからな」
「分かりました。――でも、敵が出てきた時は……」
「臨機応変で」
「はい」
「なら、煙が晴れる前に壁を超えて内部侵入で」
頷くエミリア。
煙が落ち着く前に、エミリアは長刀を手にしたまま3メートル近くある壁を跳躍し飛び越える。
エミリアの姿が消えて、しばらくしてから埃が風により突然、晴れる。
「なんだ?」
あまりにも不自然な風。
それも突風に近いモノ。
「全隊、前へ!」
視界が確保されていくと同時に50人近くの兵士が姿を見せる。
しかも、全ての兵士は規格的に統一された装備をしている。
それを見て、俺は嫌な予感が脳裏を掠めるが――。
「何者だ! 総督府を攻撃してくるとは!」
「やっぱりか……」
俺は腰に手を当てながら溜息をつく。
まぁ、やけに立派な建物だと思ったが、その時点で気がつくべきだったのかも知れないな。
まぁ、今更、後悔しても仕方ないか。
「貴様! 先ほど総督府への出頭を断った冒険者!」
「久しぶりだな。とりあえず来てやったぞ」
「お前は馬鹿なのか! こんな出頭の仕方をする奴がどこにいるんだ!」
「ここにいる」
肩を竦めながらことばを返す。
「カズマ! 貴様っ! これを! こんなことをしてタダで済むとは思わないだろうなっ!」
「あとで修繕するから問題ないだろう? 形あるものは、いつか壊れるものだからな」
「そんな屁理屈が、通じると思うのか!」
「まったく、心の世界やつだ」
「お前には言われたくないわ! こんなことをして! 総督府に攻撃してきて! これが出頭の合図とは! 貴様は、一体!」
とりあえず、時間稼ぎの意味合いも含めて話し合いに持っていく。
「ちなみに、お前、誰だったか?」
「アイゼンだ! アイゼン! 貴様! 私の名前を聞いていただろう!」
「そうか? 全然っ! 記憶にないな」
俺は、スキル『イーグルアイLV10』を使い、上空から周囲を見下ろしつつエミリアがミエルの母親を見つける時間を稼ぐ。
「ぐぬぬぬぬ、もういい! ソイツを――、冒険者カズマを拘束しろ!」
「やれやれ、たかが入口の門を壊された程度で大げさだな」
「お前の常識をこっちに押し付けてくるな!」
打てば響くというのは、こう言うことを言うのだろうか。
俺が予測している通りの反応をしてくれるな。
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