第89話 オーク討伐の戦利品

「しかし……、それにしても――」


 俺は、洞窟内を見渡す。

 洞窟内には30人ほどの妙齢な女性が俺の方を見てきている。

 その衣類は乱暴される直前ということもあり、破けている者が大半で肌の露出が極めて高い。

 俺もエミリアと、関係がなかったら赤面していたところだ。


「あの……。大丈夫ですか?」

「な、なな、何がだ?」

「――いえ。こう言っては、助けてもらってあれなのですが……」


 イーナが控え目に何かを言いたそうにしているが、俺だって理解している。

 男だから目が女性の裸に向かってしまうのは本能だから仕方ないのだ……そう、仕方ないのだ。


「と、とりあえず――、そのままだと風というか動きづらいからな」

「……」


 無言で俺を見てくる村長の娘のイーナ。

 それに対して、俺はコホン! と、わざとらしく咳をし――、アイテムボックスの中からエミリアの衣類が入っている箪笥を取り出し、洞窟内の床へ下す。


「この衣類の中から、服が破けている人は、選んで着てくれ」

「何だか要求してしまったみたいで……」

「気にするな」


 いや、実際、要求はされていないが、このまま出口まで連れて行った方が問題になりそうだからな。

 特にエミリアに怒られそうだ。

 まぁ、勝手に衣類が入っている箪笥を出して使わせている時点で、あとでモロに怒られると思うので、大きめの町についたら衣服を買って機嫌を取るとしよう。


「俺は通路に移動しているから、早めに着替えてくれ」

「はい。ありがとうございます」


 俺は、降りてきた通路とは別の反対側。

 まだ、地下へと通じる道の方へと進む。

 これだけ、時間が経過してオークが出ないということは、俺が倒した分と洞窟の外に出た分を合わせて全部倒せたはずなので問題ないと思い洞窟をさらに下っていく。

 距離としては20メートル程。


 種火の魔法で周辺を照らしながら降りると、先ほどの広間とは違い小さな広間が広がっている。

 広さとしたら学校の教室の半分くらい。


「これは、金貨と銀貨か……」


 広間の一角に金銀財宝が山とまでは行かないが、ある程度の資産価値があるモノが積み重なっている。

 おそらくは村からの略奪品か旅人から奪ったモノだろう。


「仕方ないな」


 俺は、無言でアイテムボックスに詰めていく。

 モンスターからの戦利品は問答無用で冒険者のモノ! というしきたりは無いが、ゲーム内では、プレイヤーのモノだったから問題無いという事にしておこうじゃないか。




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