第72話 さあ、報復の時間の始まりだ!(3)
瞳から涙を流しながら地面の上を転げつつ、俺から距離を取ろうと――、逃げようとする皆月。
その姿は、まさしく地をムシケラ。
「アーハハハハハハハハハハっ」
俺は、そのあまりの滑稽ぶりに我慢が出来ずに笑ってしまう。
俺を殴り、金を無心し、羞恥に塗れさせ――、母親がPTA会長であり、父親が議員だという、この女は! 皆月茜という女は! 自分が行ってきた犯罪を揉み消し、訴えを、国会議員の父親の力を使い、俺の両親に圧力をかけ――、訴えを起こさせないようにした!
そんな、圧倒的なセレブの立ち位置にいた女が! 俺よりも遥かに上の立場に存在していた上級国民たる皆月茜の無様すぎる姿を見て、笑いを堪えろ! と言う方が無理があるだろう!
「逃がす訳がねーだろうがああああああああああああああっ!」
俺はアイテムボックスからロングソードを取り出す。
そして鞘から抜くと皆月茜の方へと投げる。
寸分違わず、皆月茜の体にロングソードが刺さり地面へと張付けとする。
「――いやっ! たすけてよっ! 誰か!」
「おいおい。助けてって、穏やかじゃないな。俺は、ただ単に正当な権利を主張しているだけに過ぎないんだが?」
俺は、ロングソードの柄を両手で持つと共に、ゆっくりと横へとずらしていく。
すると1ミリ間隔で、体を切断されていく皆月は、暴れる。
さらには途中から失禁までする。
――だが! 許さないがな!
俺は、時間をかけて皆月茜の体を横へ真っ二つに輪切りした。
すでに皆月は意識が無いのか、体は生理現象でピクッピクッと動いているだけ。
「ヒールLV1」
もちろん、死なす訳がない。
こんな簡単に殺したら俺の20年以上の怒りが癒される訳がない。
「わ、わたし――、一体……」
「よう! 気がついたか? 皆月」
「……た、田中……、どうして……」
「どうして? おいおい、まだそんなヌルいことを言ってんのかよ? 今起きてる全てはテメーが犯した結果にすぎない必然だろうがっ!」
俺はアイテムボックスからダガーを取り出すと皆月の太腿に力いっぱい刺す。
骨が砕けた音と共に、その太腿からは青い魔物の血が噴き出す。
「キャアアアアアアア。痛い痛い痛い痛い。どうして……」
「どうしてだと? 何度も言わせるなよ? お前が、俺にした仕打ちを返しているだけだ」
「だ、だけど日本の司法や教育委員会は問題ないって……」
「何を言っているんだ? お前、ここで俺を殺しにきたじゃないか? あの時は痛かったぞ? いやー、本当に心も体も痛かった。仲間に裏切られるのはこんな気持ちなんだなって思ってな!」
もう一本のダガーをアイテムボックスから取り出し、皆月のもう片方の――、無傷の太腿に突き刺す。
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