第70話 さあ、報復の時間の始まりだ!(1)

 上空に滞空し――滑空しながら魔法をハイネ城へと放っているサキュバスとサキュバスクィーンである皆月茜をスキル『イーグルアイLV10』にて補足する。

 それと同時に、スキル『スナイパーLV10』を発動し攻撃起動を修正していく。


「数が多いな……」


 飛んで移動しているサキュバスの数が多すぎる。

 これだと数を正確に判断することができない。

 さて――、どうするか? と、考えたところで、視界内に半透明のテンプレートが開く。

 そしてログが流れた。




 ――スキル『スナイパーLV10』の必要経験値が貯まりました。スキル『スナイパーLV10』は進化します。進化してもよろしいでしょうか?(y/n)




 困っていたところで、ようやくスキル進化に必要な経験値が貯まったようだ。

 同時に複数のモンスターを何度にも渡って見てきた事で経験値習得が早まったのだろう。

 俺は、迷わずイエスを選ぶ。




 ――スキル『スナイパーLV10』を進化させます。進化に成功しました。 

 ――スキル『マルチロックLV1』を習得しました。

 ――続いて『マルチロックLV1』に付随し、スキル『自動追尾LV1』を習得しました。




 ようやく、スキルが解禁されてきた。

 俺は二つのスキルをLV10まで引き上げる。

 

「数は271匹――」


 俯瞰的な――、サキュバス達が飛んでいる更なる上空から下を見下ろしつつ、ようやくサキュバスの数が確認できた。

 これで余計な横やりを入れられることはない。


「レベル9雷属性魔法! バレットソード・レールガン!」


 アイテムボックスを起動し、アクアドラゴンと戦った時に使わなかった残りのダガーを空中へと投げると同時に、雷属性の魔法により周囲に電磁場を形成。

 それにより、俺の周辺にダガーを浮かせつつ、走る。


 ――そして、森を抜ける少し前のところで視線をサキュバスの群れへと向ける


「いけえええええっ!」


 俺の命令と同時に、全てのダガーが電磁加速されレールガンとなり、空を滑空していたサキュバスをスキル『マルチロックLV10』とスキル『自動追尾LV10』の補正を受け――、次々とサキュバスにレールガンが突き刺さり、爆散し青い血を雨の用に周囲に降らせていく。


 俺は、その中を走り皆月茜へと向かう。

 そこで自分達が攻撃されていることにようやく気がついたのか、皆月茜の視線が俺に向けられてくるが――。


 俺は、すでに城の外壁を強化されている肉体を酷使することで垂直に昇って、皆月茜に向けて跳躍していた。


「お前は!?」

「遅い!」


 その言葉と同時に、俺はブロードソードを皆月茜の翼の付け根へと叩き付け、多少の抵抗を受けながらも切り裂くことに成功する。


 絹を切り裂くような悲鳴が聞こえてくるが、それはすぐに止む。

 

「痛い、痛い、痛い」


 体の一部と化した蝙蝠の翼を斬り裂かれた痛みからなのか、地面の上を転げまわる皆月茜。

 その様子を見下ろしながら俺は吐き捨てるように言葉を口にする。


「久しぶりだな、皆月茜っ!」


 

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