指環は、あなたに(短文詩作)

春嵐

指環は、あなたに

銀色の、そこそこ安物の指環。彼の、くれたもの。

彼はもういない。部屋にひとり。


「指環」


外して、机に置く。


「あげるね。もう、いらないから」


彼はいない。

鞄も持たずに。

部屋を出る。

残された、指環がひとつ。

午前の陽光を受けて、ちょっとだけ光った。

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指環は、あなたに(短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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