記憶

記憶喪失になった。

人の名前も顔も。思い出そうとすれば靄がかかったようになってしまって。

周りから皆いなくなった時、僕は思い出した。

幼い頃に一度だけ会った同い年の少女のこと。『約束』と再会を夢見たこと。

僕は嗤った。今頃思い出してももう遅い。

彼女はもう会いに来てくれていたのだから。

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