第2話ままならぬ、脳内妄想、夢の中


 先に話し合いの場を整えて貰えるように、グレイストン夫妻にお話をしてくると出ていったアリシアを見送ってから、ようやく自分が今居る場所に目を向ける。


 ガバッと跳ね起きて以来一度も触れてなかったベッドからして、まず凄い。セミダブルくらいの広さで真っ白なレースの天蓋が垂れ下がってるエレガント仕様だ。薄めのラベンダー色のシーツで統一されたシーツと枕、クッションと相俟って割とゴージャスかつファンシーなプリンセススタイル。足元に引かれた毛足の長いふかふかそうな真っ白なラグと、その向こうに伸びるチョコレート色の床とのコントラストが眩しい。

 壁紙は白を基調にパステルグリーンのストライプが施してあり、ストライプの間の白地部分にはラベンダーと思しきお花の柄が等間隔に並んでいる。そのうちの一面には──他に窓がないから、光彩取りも兼ねているらしい──大きな観音開き式のチェッカーガラスの扉がはめ込まれていて、ガラスの奥には夏の日差しとバルコニーらしき空間が見て取れた。多分あちらが南側なのだろう。

 室内の家具は大きな書棚にライトデスク、それからこれまた大きなクローゼットと姿見、ちゃんと椅子までセットになっている立派なドレッサー。オーク材らしきそれらはどれも丁寧に使い込まれたアンティーク家具のように、深みのある綺麗な飴色の光沢を放っていて、見ているだけで少しワクワクしてしまう。


 ……ちなみに室内の広さは、我が居城である単身者用ワンLDKの間取り全部ぶち抜いたくらいな気がする。ウチはLDK八畳と洋間六畳に洗面所・風呂とトイレだから……少なくとも十五畳以上くらいかなぁ。わあ、広い。どおりで真っ白な天井を見上げたら果てが遠くて困惑しちゃう訳だー☆

 ついでにシャンデリア式の照明にも困惑しちゃうぞー☆


「……着替えよう」


 なんとなく虚しくなったので、いい加減ベッドから下りて行動開始。ベッドから抜け出して足元にあったスリッパを履き、一先ず姿見で自分の姿を確認する。


 そろっと鏡の前に立てば、そこには癖が無くサラサラな真っ黒ストレートな髪の毛を背中が半分ほど隠れるくらいに伸ばして、きりりとした眉に、猫のように釣り上がり気味ながらもパッチリした双眸とアメジスト色の瞳を持つ、ルキア・グレイストンが──先に顔を合わせたアリシア同様──原作絵をそのまま生体にしたような姿で映った。

 真っ白な、フレンチ袖に膝丈まである清楚なネグリジェを纏うルキアの姿はうっとりする程に綺麗だ。


 が、しかし視点が鏡ではなく、当のルキア視点から見た「鏡に映る自分」な辺りに、果てしなくテンションが下がる。

 自分視点が鏡の方であれば間違いなく「るきあたんぺろぺろ」などと心の中に住まう変態紳士大興奮の絶景間違いなしなのだが……というかマジで鏡が羨ましいんだが?

 おいお前ちょっとその立ち位置変われ。あくまで第三者目線で、ルキア本人を愛でたいんだよ私は!というか自分が成り代わった時点でいくらガワが愛しのルキアたんでも萌えないよねー。だってほら、中身これだよ?これですよ?

 いや自分のヲタク属性について別に卑下してるとかはないんですけどね。ただ推しはあくまで容姿と中身がセットで揃ってこその推しじゃん?ていうかそうでなくとも、あくまで創作物のキャラクターは第三者目線から愛でるものっていうのが私の持論であってだね?

 こんな不純物が中身として入り込んでる時点で推し汚してる風にしかとれないんだよなー……ほんとどうしてこうなってる……。


 しかしいくら思ったところで、現状が変わるわけで無し。私は仕方なく、着替えをするためクローゼットの中身を漁り出す。

 原作中一度も私服姿の無かったルキアだが、自分の妄想の中では社交用ドレスやら、ネットや街中で見掛けた洋服をアレンジして着せた姿を書いたり描いたりした記憶はある。

 だから、どうせそんな感じの中身だろうと──なんせこれは私の夢だろう、なので──開けてみれば、そこには私が妄想していたようなジャンルの衣類はあまりなく。かといって普段私が着ているようなタイプのものも少ない。


「……意外とパンツルック派、というかボーイッシュ系好き?」


 とりあえず今のところは、黒の九分丈レギンスバンツとシンプルな青ストライプのシャツワンピースを着ることにする。膝丈でくびれ部分に通されているリボンベルトの結び目を、中央よりずらして腰の右側にくるように調整して結んで……よし、多分大丈夫。ルキアのイメージは損なってない、はず。


(……て、そいえば靴ってどうしたらいいんだろ?)


 クローゼットの中にはシューズ収納のボックスもあったので、そこから白のスポーツサンダルを取り出してみたはいいものの。

 この世界はヨーロッパの某紅茶と紳士の王国の生活や文化をベースにしているから、屋内に居ても靴を穿いている方が一般的なはずだ。多分。

 けれどどこからどこまでが土足なのか、スリッパで動き回る範囲の正解はどこまでなのかが、分からない。


(ベッド横にスリッパがあったということは、この室内でのスリッパ履きはおかしくないとは思うけど……)


 海外経験一切なしだし、創作してても学校生活の一場面とかが殆どだから、一般的な生活様式が地味に分からない。


(世界観的には現代ファンタジー扱いで、生活水準的にもほぼほぼ現代規格なのに、異国なだけで初手から躓くとは……。くっ、ここにスマホでもあればすぐに調べられるものを──)


 と思った瞬間、閃く。

 いやいやあるよ、この世界スマホありますよ。

 だってこの世界の魔法、なんでも出来る便利な力じゃなくてそれなりに法則があるパターンのものだし。

 その代わりというか、世界各所には現実世界にリンクしている『特異点』が存在していて、それを行き来して科学技術を取り入れ発展してきたのがコチラ側という設定だ。


 まぁ厳密にはもうちょっと違うんだけども、科学や生活水準、ファッションを始めとした生活に纏わる風俗文化はほぼ現実世界と同程度な魔法世界という認識で間違いない。


 私は急いでベッドまで取って返して、ベッドの上やサイドテーブルを確認する。


「……よっし、あったー!」


 探し物はサイドテーブルの上にちょこんと乗っていた。充電ケーブルが刺さったままのホームボタンがないタイプのスマートフォンをさっそく手に取り──


 スリープモードだったらしく手にとった瞬間に液晶が起動して、淡く光ながらロック画面を表示するのを見て「詰んだ」と漏らす。

 ですよねぇー。通常ロック掛けてらっしゃいますよねー。だって個人情報の塊だもんねスマホ。わあルキアたんやっぱりこういうのにきっちりセキュリティかけるタイプだ解釈どおりだやったね☆

 しかもベースが林檎型だから顔承認ついてるだろうに、きっちりパスワード入力しなきゃ開かないようにしてあるの、解釈一致過ぎてホント好き♡


「……じゃなくて、どうするんだコレ完璧詰みじゃん。ていうかよく考えたら私英語壊滅的だったから、運良くロック解除出来ても詰みでしかない……言語やら検索範囲は日本語設定に変更出来てもメールやらSNSやらはさぁ〜〜」


 思わずボヤく。

 こうなればホテルとかと同じように廊下や共同空間だけ靴履く方向で動いて、さっさと現状をアリシアとグレイストン夫妻にお話ししに行こう。


(……て、ん??)


 今何か、引っかかったような。

 しかし何にどう引っかかったのかが、自分でも分からない。


 少しの間悩んでみても分からなかったので、私は諦めて部屋を出ることした。

 一先ず彼らに明晰夢から起きる方法検索してもらうなりなんなりして、この身体をさっさとルキアにお返しし、私は頭どころか身体も財布も痛むかもしれない現実世界に戻って、とりあえず「青春ハイティーン」をプレイ出来るようにならねば。

 待ちに待った公式からの続編がお家にある状態だというのに、こんなとこでなんでか地雷な成り代わり設定全開な、脳内二次妄想世界に浸ってる場合ではないのだ。うん。


 念の為スマホをワンピースのポケットへと突っ込み、サンダルを持って部屋を出るため扉の方へと移動する。

 と、そこに外側からノックされる音。はいと答えたら扉が開いてアリシアが顔を出した。


「あの、大丈夫? 色々心配だったから様子を見に来たんだけど……」

「ええ。わざわざありがとう。正直凄く助かるわ」


 はぁ〜〜、私の最推しゲームのヒロインだけあって性格良すぎかよ〜〜。と心の中で彼女にデレデレしまくりながら、私はその本性を一分も表に出すことなく、品よく見えるよう心掛けながら口角を上げて礼を言う。

 これでも接客販売員やってるからね、外面だけ品よく愛想良くなんて朝飯前ですよ?……まあ、そうじゃなくても基本心の声だけやたら煩い系オタクですけどね!

 アリシアはそんな私にほっとした表情で目を細め


「じゃあ、応接室に行きましょうか。グレイストン夫妻がお待ちになられてるから」


 そう言って手を差し伸べてきてくれた。やっぱ聖女か、いや神か!アリシアのこういうとこ、ほんっとほんっと尊いんじゃ〜〜!

 思いつつ私は彼女の掌に手を伸ばしかけ


「ええ。……あ、そうだ。急遽一つ教えてもらってもいいかしら?」

「はい?」

「その……スリッパと靴の履き替えのタイミングが、よく分からなくて」




「つまり今の貴方は私たちの娘ルキアではなく、先の【法の書】事件の折、こちらのアリシアさんに加護を与えていた高次元存在、そうおっしゃるのですね」

「はい。俄には信じられないと思いますが……」


 アリシアに案内されて石造りの廊下を歩き、西洋のお城と言われてぼんやり思い浮かべがちな、階段が上階の両端から伸びて天井にはでっかいシャンデリアがキラキラしている、絵に書いたようなエントランスホールを抜けて応接室へと入った私は、ふっかふかのソファにアリシアと共に座り、その対面にルキアの両親であるグレイストン夫妻を臨みながら現状を語った。

 といってもマジのガチでそのまんまではアレなので、一部をきちんとゲーム世界に寄せて……であるが。

 本当はキチンとありのままを話した方がいいのかも知れないと心の隅っこにいる良心が語りかけてくるが、ここが私から見たゲームの世界というのは流石に言うのが憚られると言うか……。

 だって前作ラストで「この世界や自分が、違う世界の人間の見る夢や妄想・想像の具現だと言うのなら、それを破壊しようとする貴方たちを尚更放置出来はしない。だって私は夢や妄想を愚かなものだと思わない。そういうものの具現が私……私たちだというのなら、次元は違えど彼らと共にあり続け、希望でありハッピーエンドを目指し続ける事こそを存在理由としたい」と言ってくれたアリシアを前に、ハピエン至上主義二次創作オタクがありのまま事実を言えるかって言うとね〜〜?

 アリシアのこの台詞は私にとって救いみたいなもんなんだもん、言える訳が無いっ!


 まあ私のそんな内心の葛藤は置いておいて……前作の世界では、「法の書」というアイテムがキーになっていた。

 漫画やアニメやライトノベル、ゲーム系の界隈に加えて多分オカルトや魔術系のオタクやっている人ならピンとくる人もいるかも知れない。本当に実在した魔術師の中でも、最も現代に近い時代に活躍しており知名度も高い、秘密結社「黄金の夜明け団」に所属し後に「銀の星」の創始したセレマ思想の確立者兼伝道者、アレイスター・クロウリーが「この世界より更に高次なる世界に存在する者」──彼はそれをアイワスと称していた──と交霊し執筆した言われる書物である。……確か。

 で、前作の前日譚として「法の書」の原本は密かにゲームの舞台があるこの国、エグバート王国の王城地下にある禁書庫にて厳重に秘匿管理されていたはずが、いつの間にか何者かに写本とすり替えられていた事が発覚。

 原本を紐解きアイワスが如何なる者なのかを研究し、その存在自体が確定した後、完全降臨させてこの世界の真なる理を解明する糸口にしたり、その智慧をそのものを授かろうと多くの偉大なる研究者が挑み──大掛かりな現出実験を行った結果、参加者全員が或いは廃人化、或いは発狂自殺といった末路を辿ったという設定がつけられた「法の書」は、結果として主人公・アリシアが通うことになっていたレイクランド魔術学校にあった。というか学校関係者だった持ち出し犯は特殊能力のあるアリシアを現出の依代兼生贄として、彼女を特別枠の入学生として選出。何も知らない彼女が基礎理論を履修完了したところで誘拐し、アイワス現出を実行しようと企んでいたのだ。

 そしてその「法の書」の行方を追っていたのが王国建立当初から代々王に仕え秘密情報部の取り仕切りを任されている諜報一族グレイストン。そうルキアのお家である。

 父親である宗家の現当主ハワード・グレイストン公爵を筆頭に一族中枢を担う大人達が代々継承・拡大してきた独自の情報網「ネットワーク」を駆使し、ゲーム開始直前辺りに「法の書」がレイクランド魔術学園にある可能性が高いこと、そして魔術の素養の高さから異例の特別入学生として迎えいれられるアリシアがアイワス現出研究にて仮説提唱されていた器に相応しい素養を持つ事を突き止め、元々同校に進学予定であったルキアに、内部調査とアリシアの警護及び出来れば学園から距離を取らせる方向へと誘導するよう密命が下る。

 故にルキアはアリシアに対して辛辣な態度を取り続けるのだが──……


 て、そんな粗筋は今は置いといて。

 結果として、アイワスとは開発側でありプレイヤーであり……そう、リアル世界の人間の事であった。

 そして魔術世界であるこちら側はもちろん、現実世界とされてきた特異点で繋がる魔術のない世界も含めた、このゲームの中に広がっている全ての世界自体、リアルの人間の夢や妄想が固まって出来た世界であり──プレイヤーキャラクターであるアリシアはプレイヤーというアイワスの加護を既に得ていて、選択コマンドや行動について「神託」という形で受け取っていたと言うことがラスボス戦イベントで明かされる。

 なおそのラスボス戦突入前イベントで生贄にされかけたアリシアを救い、身代わりになるのがルキアだ。そこまでの間に「学園十三怪談の噂」イベントを制覇していなければルキアが生存する、このトゥルーエンディング時空には到達出来ないし、アイワスや世界の設定そのものも中途半端にしか解明されない仕様となっている。


 それらを踏まえ、私はかつてアリシアに神託を授けていたアイワスであり、自分の世界で事故にあった結果何故かルキアに憑依している状態だが、それは単純に直前までこの世界に対して強く思い浸っていた私の空想が図らずも強力に作用したようだと説明した。そのせいで多分本来あるべき方向に向かわねばならない未来とは違うパラレルワールド化した状態に陥っているが、私が無事自分の世界で目覚めれば全ては元に戻り、私がこうしてルキアの体を借りていること自体がなかったことになる可能性が高い、とも告げる。


「……つまりは私が見ている明晰夢のようなもので……。ですので、目覚める方法さえ分かればすぐに実行し、娘さんをお返し致します。大事な娘さんを巻き込んでしまい、この度は本当に申し訳ございません」


 ルキアの体を使っている以上頭を下げるのもおかしな事かと思い、目を伏せて誠心誠意謝った私に、グレイストン夫妻は軽い溜息を吐きながら苦笑いを浮かべた。


「娘の姿でそう言われると、複雑な気分になるな」

「けれどアイワス様の誠意は伝わりました。それに王子がお纏めになられたあの事件の報告書と、アイワス様のお話に齟齬もありません」

「ああ。……だからこそ頭の痛む話となる訳だが……まぁ、ある程度アイワス様が自身の状況を把握されているのが救いか。それでは早速、私たちは明晰夢からの目覚め方についてお調べ致しましょう」

「ありがとうございます」


 グレイストン公爵の言葉に私は再び黙礼をする。

 と、そこに夫人の声。


「アリシアさん、悪いけれど専門家の方にお話を伺ってくるから、それが終わるまでアイワス様のお相手をお願いして宜しいかしら?」


……ん?


「ちょうど十一時も近いし、二人で軽くお茶でもなさってもらってて宜しい?」

「それはもちろん。アイワス様も宜しいですか?」


 夫人の言葉を受けて、アリシアがにっこり笑いながら問いかけてくる。……ああ、めっちゃ可愛い。さすがヒロイン。ほんっとこれでルキアに成り代わってなけりゃ天国なのにさぁ!

 ていうか専門家に相談とか、なんか事態が大事になっていませんか?……え、これこのまま流されていい感じ?

 内心で苦虫を噛み潰しつつ困惑しながらも、表面上は綺麗な笑みを浮かべる事を心掛けて、私は口を開いた。


「……多分、スマホでぽちっと検索してもらうくらいで、構わないと思うんですけど」

「お気持ちはある程度お察し致しますが、この世界に於いて貴方は我々よりも精霊たちに近い存在です。アリシアを見守っていた以上、精霊については貴方もよく存じていると思いますが……」

「……う、それは」


 グレイストン公爵の言葉に息を詰まらせる。


 精霊は、この世界に於いての魔力の源のような存在だ。

 ここの魔術は、感覚的に言うと日本の神道に近い。

 祝詞を詠んで神様に畏み申し上げてお願いをするように、「精霊の言葉」という特殊な言葉で精霊に力を借り受けて術を発動させるというスタイルだ。どのように自然事象の因果律を歪めて、どのような力を発現させたいのかを術者がキチンと理解し、それに則した正しい「精霊の言葉」を紡がなければ彼らは力を貸してくれない。むしろ誤って不敬な物言いになったり、理不尽過ぎる要求をすれば精霊の怒りを買い、逆噴射という名の悲しき事故に繋がる場合もある。

 ただ、そういう設定なので同じ効果の術でも術者の知識によって多少呪文が異なったり、アレンジ出来たり出来なかったりという差異が出てくるのだが……。


 とまれ、作中設定上アイワスも「この世界の人間と異なる存在」だから、確かに精霊側の存在と言えなくはない訳で。

 ついでに言えば「この世界の真理を知るもの」とかいう、彼らから見れば最上位な神様クラスの存在みたいなもんだしなー。

 実態、というか私自身はただ心の声が煩いだけのオタクプレイヤーだし、現状めちゃくちゃ普通に通常会話で意思疎通出来てるから、うっかりそこのとこを失念していたけど……言われてみれば一応専門家に──この場合は多分精霊学の方かな?──意見を聞いた方が良さげなのも納得出来る。


「……分かりました。お手を煩わせてしまいますが、宜しくお願い致します」

「なるべく急ぎ手を打ちますので、それまではごゆるりと」


 私の言葉に答えたのは夫人の方だった。彼女は嫋やかな笑みを浮かべてそう言うと、公爵に目配せしながらすると席を立つ。

 連れ立って部屋を出ていく夫妻の背を何気なく追っていると、横からアリシアが声を掛けて来た。


「大丈夫ですよ、アイワス様。グレイストン公爵様方なら、きっとすぐに何かしらの方法を持ち帰ってくださいますから」

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