第6話 世界の理《ことわり》

さて、家を探して結構な時間が経ったと思う。時計も無いから時間が分からんが、日差し的にもうすぐ日が暮れそうだと感じる。

住めそうな場所を探してる間、ひたすら食材を探してはステータスで確認し、食べているお陰で、飢えは無くなった。ステータスで確認しなかったら死んでもおかしくないようなやつもあったが、ステータスを見れるようにしてくれたあのじじいには心底感謝している。

住居探しの途中で水源も見つけることができ、喉の渇きも満たされた。まじで助かった……。そして今はその水源の道を辿っている最中でもある。

「なんか無いかなぁ、よく観てたアニメとか小説には水源の先って洞窟とか遺跡とかあるイメージだったんだけど…長いなこの川」

完全に前世で見てたアニメの架空の入れ知恵だった。実際にはあるかも分かんないが、正直その知識に縋る(すがる)以外無かった。

「ハァ、結構歩いたけど…ん?」

結構歩いていると、洞窟では無かったがこじんまりとした小屋らしきものを見つけた。こんな樹海に小屋があることも驚きだが、人が住んでたら尚驚くんだが。

「とりあえず行くか」

結構歩いたからか、かなり疲労が溜まっている。まぁ3歳の体なら余計に疲労も溜まるだろうな…。正直なんでもいいから休みたい。

「すいませーん、どなたかいますかー?」

ノックと共に声も掛けてみるが反応無し。留守かな?とりあえずドア開けてもいいかな?

「すいませんー、失礼しまーす…」

恐る恐るドアを開けて入ると、結構な量の書物とベットがあった。しかし、書物とベット以外は何にもなく、それにかなり埃が積もっていて、とてもじゃないが人が住んでるとは到底思えない様子だった。

「うわっ埃ヤバっ!てかなんかカビくさっ!流石にこんな所に人が住んでるとは思えないけど、この量の本は以前は住んでたって事だよな?」

まぁ兎にも角にも休める場所ができたことにかなりホッとした。とりあえずベットだけ綺麗にしてっと。

「よし、とりあえず寝るか。もう疲れて足が動かない…」

ベットにダイブして速攻で眠りに落ちた。そしてどのくらいの時間が経ったのだろうか、時計がないから分からないがぐっすり眠れた気がする。

「ふわぁぁっ。っててて、足が痛てー。どのくらい寝たんかなぁ。日登ってるかなぁっと」

窓の外を観ると真っ暗だった。

「え?なんで外暗いん?もしかして丸一日寝てたんか!?いくらなんでも寝過ぎじゃないか俺よ。しかしこれだけ外暗いなら迂闊に出歩けないし、何しようかなぁ」

っと部屋の中を見渡してふと思い出した。

「そういえば本めちゃあったよなぁ、ちょっと読むか」

埃を被っている一冊の分厚い本を手に取って読んでみることにした。

「えーっと…見慣れない字だなぁ。あれ?字は分からないのに何故か読める…。あのじじいが読めるようにしてくれたのか?だとしたら少し見直したぞ!んで、んーと…」

手にした本の中は精霊に関して書いてあった。

それによると精霊は1人に対して複数宿る可能性があるということが書かれていた。

え?精霊って1人に1種類じゃないの?複数宿るとかバグじゃん…。ただ読み進めてみると、今までで複数の精霊が宿った人はいないということも書かれており、精霊の性質上、素質のある人間には1つだけではない可能性があるということだった。けど、俺もうあのじじいに基本の4つの精霊は宿せないって言われてるから関係無いか…。しかし、複数宿したやつがいるとすれば、敵対するときは相手にしたら死ぬかもしれない、用心しよう。

「んで他には何か…」

読み進めていくと、風、水、火、地の4つの精霊以外の新種の精霊が存在する可能性が高いということだった。確かに俺には雷の属性の精霊が宿っているみたいだが、しかし…この本の著者は何故違う精霊がいることが分かったのだろうか?それよりも、雷精霊以外の新しい精霊も存在するかもってことか…。……ん?待てよ。基本の4つの精霊は宿すことが無理でも新しい精霊がいればそれを宿せるかもしれないってことか!俄然テンション上がってきた!

「これはいい収穫だったなぁ。朝は鍛錬、夜は基本的に読書に励んでとにかく知識は得ないとな!」

昔からライトノベルばっかり読んでいたからか、こういう本を見るとつい読み耽ってしまう。

「ふぁぁぁ。そろそろ良い頃合いかぁ」

大きなあくびをして、数冊ずっと読んでいたからか、体のあちこちの関節が軋んでいた。

ついでに何日過ぎていったかも記録しておく。読んだ本の内容は精霊以外に関することだと、この世界の基礎的な知識、地図と国の特性などが書かれていた。そして描かれている地図によると、ここから数キロ先に貿易都市ゼノンという大都市があるらしい。ゼノンでは盛んな貿易により商人による上質な品揃えが豊富で治安も良いということらしい。まずはそこに向かうのが1番良いだろうが、3歳の姿だとさすがにヤバそうだな…。

まぁ幸いにもここには、食料や水にも寝床にも困ることはないから数年はここで過ごしてから向かうとするか。

「よし!目標が決まればあとはトレーニングあるのみ!やっと俺の冒険が始まったな!」

いきなり襲われて道も分からず、ひたすら歩いてた時はどうなるかと思ったけど、テンションあがるなぁ!こうして気分が高揚した状態で俺は二度目の深い眠りについた。

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