第5話 現実《リアル》

いきなりだが、何故か獰猛な熊に追いかけ回されていた。ってそんな場合じゃないっ!

「無理無理無理無理!てか3歳児の体じゃ逃げ切れねぇよ!!てかここどこだよーっ!」


なんでこうなったのか時は少し遡る。


「……ん?ここは…森?」

どうやら俺が転移させられた場所は樹海みたいな場所らしい。良かったぁ…紛争地帯みたいな場所じゃなくて…。もしそんな所に転移させられたら新しい人生始まる前から詰んでたろうな…。考えただけでもぞっとする…。

「とりあえず歩いて見回るか」

とそこで急激な違和感を感じた。一体なんだ?

「あー俺3歳児の体だから歩く歩幅がかなり短いのか…これ慣れるの大変だなぁ…。」

3歳児の歩幅と成人迎えた男の歩幅なんて考えたこともなかったけど、歩くスピードが全然違って思ったよりキツいかもしれん…。

「てか目線の位置も違ってあまり遠く見れないじゃん…」

身長差も考慮してなかったぞ…。まったく、前途多難だらけだなこれ…。

「とりあえず住むところと食い物だな…」

分からないことだらけだが、まずは食い物と住居をまず確保しないと自然の摂理で死んでしまう…。そんなことになったら死んでも死にきれんぞ!そもそもこんな樹海に家あるのか?

「なんかキノコみたいなの生えてるけどこれ食えんのか…」

生えてたもの手に取ったけど、大丈夫かな?

そういえばあのじじいが相手のステータス見れるって言ってたけど、こんな植物とかもステータス確認できるのか?

「てかどうやってステータス見ようとできるんだ?意識を集中すれば見れるか?」

とりあえず集中して観察してみた。

【痺れキノコ】:対象を一定時間麻痺させる。

思いっきり毒キノコじゃん…。あれ?けど俺雷使えるんよなぁ?これ食っても痺れないんじゃない?とりあえず食ってみるか…。

「ふむ……。味は悪くないなぁ、焼いて塩コショウとかで味付けしたいわ」

普通な感想述べてた俺。それよりも思った通り痺れないぞこれ!食えるキノコは大事だなっ!そもそも俺に麻痺耐性が付いてるってことかな?

てことで俺のステータスを確認してみた。

【クロト】ATK:5 DEF:3 AGL:15 DEX:5

SPP:70

所持スキル:雷化ライカ、痺れ耐性

なるほど、やっぱり痺れ耐性はあったか。ん?てか雷化ってなんだ?えーっと、


【雷化】:自分自身に雷を纏うことで、一時的にATK、AGLを上昇させる。持続時間:5分。


ほう…ワクワクするなこういうの!試しに使ってみるか?けど何かあったときに持っておきたいし…。

ガサッ…ガサッ…ドン…ガサッ…

何か近くでかき分けてる音が聞こえてくるんだが、なんだ?足音みたいなのも少し大きい気がするんだが…なぜだ、すごく嫌な予感がするぞ…。

突然ひょっこり現れる獣の顔。うん、割とすぐに何かあったときが来たぞ…。

「って熊じゃねぇか!!逃げろ逃げろ!」

回想終了。ってそんな場合じゃねぇ!どうするどうする!てか歩幅が短すぎてすぐ追いつかれてしまう…!あーもう無理だぁぁ!と全力で走りながら咄嗟に叫んだ。

雷化ライカ!」

突然バチバチと音がしたと思った瞬間、体が光だした。わけも分からず、とりあえず全速力で走ろうとしたが、

「うわっ!うわぁぁぁぁ!!」

あまりの急なスピードに思考が追いつかない。ちょっこれどうやって止まるんだよっ!てかどこまで行くんだよこの体!止まる方法がわからずとりあえず叫んだ。

「止まれ止まれ止まれーー!!」

普通に止まった。

「ハァ…ハァ…ハァ。いろんな意味で死ぬかと思った…。てか熊は…?あれ?いない…。」

後ろを振り向いて走ってきた道を見渡すと何もいなかった。自分が思ってた以上に突き放してたみたいだ。助かったぁぁ…。

「てかこの雷化の持続時間5分だっけ?時間が経つと解除なのか?自分の意思で解除とか…」

自分の意思で解除しようと念じてみるが解除できなかった。自分の意思で解除できないと色々不便だぞこれ。雷化のコントロールに解除の仕方。どれも特訓してできるようにならないと…。課題は山積みだがまぁなるようになるだろう。そうだ、雷化状態のステータスは…。

【クロト】:雷化状態

ATK:40 DEF:3 AGL:100 DEX:5

SPP:70

確かに攻撃力と敏捷だけ跳ね上がってるな…。てか敏捷100にもなれば結構速く走れるのかぁ。特訓次第ではもっと数値が上がる可能性あるからそしたら多分瞬間移動レベルになるな、うん。あぁ、ヤバい楽しみだ…!

「まぁそれはそうと……」

改めて現実を冷静に分析して誰に言っているわけでもなく独り言を呟いていた。

「ここ本当に何処だよ…」

力よりも家をくれ…。

    


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