第4話 精霊の強さが故に
「さて話を戻すとするかのぉ」
さっきまで爆弾を投下してた気がするが、何事もなかったかのように話しだすクソじじい。
「お主には転生後に相手のステータスが見えるようにしておく。他のやつらからはお前さんや他のやつらのステータスは見えんからお前さんだけの特権じゃの」
「ステータス?RPGみたいなやつか?」
そもそもこのじじいにRPG分かるのか…?
「そうじゃ。基本はATK(攻撃力)、DEF(防御)、AGL(敏捷性)、DEX(命中率)、SPP(精霊力)の5つじゃの。」
RPGに出てくる基本的な能力値ってわけか。しかし最後のSPPって…。
「なぁ1ついいか?最後のSPIったやつはなんなんだ?元いた世界のゲームでもそんなの見たことないが…」
「SPPとはつまり精霊力、spiritual powerの略じゃな。お前さんが行く次の世界ではこの精霊力がかなり肝となってくる。そもそも全員が全員精霊を扱えるわけじゃない。この精霊力を保持してる奴が精霊を扱い、その数値が高ければ高いほど強さに影響するってわけじゃよ」
なるほどな…。てことは俺は主人公ポジションにいるって考えると、その精霊力はめちゃくちゃ高い所からスタートすると…。ふへへ。
気持ち悪い笑いが出たところで爆弾投下。
「お主の精霊力はそこまで高く設定出来んぞ。せいぜい5分間精霊を扱えるくらいの時間しかない。まぁお前さんの能力なら…」
「ふざけんなよ!5分しか能力使えないって…。使い終わったら次いつ使えるんだよ!」
じじいが話し終わる前にキレていた俺。当たり前だ。5分って…インスタントラーメン出来上がるころには終わる能力とか使えねぇよ!
「精霊力を使い切ると5時間は使えん。何、修行さえ積み重ねればもっと長く使えるようになる」
チャージ5時間の単語を聞き絶句していた。
「……ちなみに他のやつはどのくらい使えるんだ?」
頼む…俺より短いか同じであってくれっ…!
「ふむ、基本は1時間〜強いやつじゃと3時間は使えるのぉ」
死んだ。改めて俺の人生は終わったわ…。もはや詰みゲーじゃねぇか…。バイバイおれの異世界転生物語。
「まぁそんな落胆するでない」
このじじい、どの口が言ってんだよ…。
「お前さんの能力は雷じゃ。たとえば雷が絶え間なく5分間ずっと鳴ってたらお主はどう思うかえ?」
なんかいきなり哲学っぽいこと聞いてきたぞ。
「そりゃビビるだろ。あんなエネルギーの塊みたいなのずっと放電されてても困るわ」
「それと一緒じゃ。お前さんが使う雷の精霊は力が膨大すぎる。それを5分間以上放出しているとお前さんの肉体がまず保たんじゃろう。しかし、敵さんはどうじゃ?お前さんを5分以内に仕留めないと即ENDという恐怖しかない。しかもお前さんの努力次第では精霊を扱う時間も伸びていく。中々にチートだとは思わんかえ?」
確かにこのじじいの言う通りかもしれない。まぁなんか上手く乗せられている気もしなくもないがここは乗るとしよう。
「まぁ確かに悪くはないな。最後に聞きたいことがあるんだが。俺はまず何を目指すべきなんだ?」
そもそも3歳に転生して何処に向かって何をするのがいいのか全く分からん。情報はあるだけ持っておいた方がいいだろうな。
「お前さんはまず修行からじゃ。5分間精霊を使えるっていっても慣れないと話にならん。まずはそこからじゃの。10歳になると騎士団学校に入学式できるようになる。そこに入学するのが手っ取り早いじゃろう。まぁ入学できるかどうかはお前さんの努力次第ってところになるが。しかも騎士団学校にいるやつらはみんな強いうえに、おそらく化け物の子孫のうち何人かは入学するかと予想できる。」
前途多難だなぁ…。まぁ不安もあるが期待感の方がめちゃめちゃ強くてアドレナリン出まくってるぜ!…死んでるけどな…。
「よっしゃ!覚悟を決めたぜじじい。次の世界に飛ばしてくれ!」
美女に拾われて甘やかされますように、美女に拾われて甘やかされますように、美女に拾われて甘やかされますように!。
「煩悩まみれじゃのぉ…まぁ良かろう。お前さんが無事次の世界で生き残れることをワシは祈っておるぞ」
(そしてあやつを止めてくれ…)
「ん?なんか言ったか?」
なんかオーディストがボソッと呟いていたが上手く聞き取れなかった。
「なんでもない、さぁ飛ばすぞ!」
こうして俺の意識は再度消え、そして知らない土地で目を覚ました、3歳の姿で。
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