第十九話 魔法大国の意地
二回戦が終了し三回戦が始まる。
ラダン&イレーヌペア、ナギ&ミスズペア、チェルシー&マリアペアも勝ち上がったみたいだ。
私達の次の相手はガラルホルンオウデン魔法学院レヴィン&サイツァーペア。
レヴィン選手は個人戦ではチェルシーに負けていたけど強かった印象を持っている。
サイツァー選手は分からない。ルートヴィヒが瞬殺しちゃったから。
『三回戦第ニ試合はヨルバウム帝国シュライゼム魔法学院ルートヴィヒ選手&ステラ選手対ガラルホルンオウデン魔法学院三年生レヴィン·オーフェル選手&一年生サイツァー·エルメフィーノ選手です。ルートヴィヒ選手とステラ選手は多少苦戦しながらも三回戦へと勝ち進んできました。対するレヴィン選手とサイツァー選手のペアは苦戦することもなくここまで勝ち上がってきました。優勝候補のルートヴィヒ選手&ステラ選手ペアが勝つのか、魔法大国の威信を賭けたレヴィン選手&サイツァー選手ペアが勝つのか見物です!!』
試合前にレヴィン選手とサイツァー選手と握手をする。
「大会が始まる前は俺達が優勝候補だったんだけどすっかり挑戦者だ。挑戦者らしく全力全開で戦わせてもらうよ」
レヴィン選手が爽やかスマイルを向けてくる。やだ、イケメン。
一方のサイツァー選手はルートヴィヒに話しかけている。
「また戦う事になるとは。ルートヴィヒ、君は僕と戦う運命を背負っているのかもしれないね。でも勝つのは僕達ガラルホルンオウデン魔法学院だ。何故なら名家エルメフィーノ家の僕がいるからね。それに、あう!?」
「お前の話は長いんだよ。今回、前回と同じ様に自慢話に夢中になって負けたりしたら容赦しないからな!」
「痛い痛い痛い。痛いですよ、レヴィン先輩。分かりましたから耳から手を離してください」
まだ話を続けようとしていたサイツァー選手だけど、レヴィン選手に耳を引っ張られて所定の位置へと引っ込んで行く。
向かい合った私達を見て審判が開始の合図を出す。
レヴィン選手達は速攻で防御魔法を展開する。しかも普通の防御魔法じゃない。風属性と風属性の同じ属性をかけ合わせた上級風属性ユニゾン防御魔法ストームウォールだ。
レヴィン選手達は暴風の壁に守られていて近付く事が出来ない。
ルートヴィヒはセイクリッドレイを剣と身体にエンチャントして、暴風の壁に挑むけど弾かれてしまう。
あれを打ち破るには三属性以上の複合魔法をぶつけないと。
私は無詠唱で火、水、風属性の上級複合魔法ライトニングフレアをストームウォールに向けて放つ。
ストームウォールは消え去った。
だけどレヴィン選手達は新たな魔法の為の魔力を杖に溜めていた。
「フォースノヴァ!!」
レヴィン選手達が放った魔法は火、水、風、土属性の四属性の魔力がこもったユニゾン魔法だ。あれを放つ為にストームウォールで時間を稼いでいたのだ。
四色の光の奔流が私に向かってくる。やばい、防御魔法の展開が間に合わない。
その時、ルートヴィヒが私の前に現れる。
「光迅流ニノ型激迅、応用技激光迅!!」
フォースノヴァに渾身の斬撃を放ちフォースノヴァを打ち消したルートヴィヒだったが、無理をしたのか体中から血が吹き出ている。
すぐにルートヴィヒに回復魔法をかける。
レヴィン選手達はフォースノヴァを打ち消されて驚いている。
そりぁそうだ。私の最強魔法ビックバンと良い勝負が出来るくらいの威力はあったのだから。それを打ち消したルートヴィヒが凄いのだ。
レヴィン選手達は再度ストームウォールを展開する。
もう一度フォースノヴァを放つつもりだ。
対抗するにはビックバンしかない。
ビックバンを放つ為の魔力を杖に溜めていく。
ストームウォールの展開が解けると同時にフォースノヴァが放たれた。
「ビックバン!!」
フォースノヴァとビックバンがぶつかり大爆発が起きる。
大爆発が止んだあと、レヴィン選手とサイツァー選手はまだ立っていた。
だが、ルートヴィヒが二人の背後に回り込んでいる。勝負あった。
レヴィン選手とサイツァー選手を気絶させたルートヴィヒはその場で膝をついた。
ルートヴィヒも魔力切れでギリギリの状態だったらしい。私もビックバンを放ったせいでほとんど魔力が無い。
審判が試合終了の合図を出して私達の勝利が決まった。
『勝負あり!! 勝者ルートヴィヒ選手&ステラ選手ペア!! いやぁ〜、レヴィン選手達の猛攻は凄かったですね。ルートヴィヒ選手とステラ選手をかなり苦戦させたと思います。フェイさんはどのように見ましたか?』
『レヴィン選手達のユニゾン魔法は大変素晴らしいものでした。まず防御魔法ですが、同じ属性を掛け合わせる事によってかなりの強度の防御魔法が展開されていました。次に四属性の魔力が込められたユニゾン魔法ですが、正しくは火と風の複合魔法と水と土属性の複合魔法を掛け合わせたユニゾン魔法です。これには精密な魔力コントロールが必要になりますが、レヴィン選手が見事にコントロールしていました。技術でルートヴィヒ選手とステラ選手を追い詰めたと言えます。さすがガラルホルンオウデン魔法学院の麒麟児です。大変感動しました』
回復魔法をかけてもらい意識の戻ったレヴィン選手とサイツァー選手と握手をする。
「まさか、フォースノヴァを二回も防がれるとは思わなかったよ。完敗だ』
「いいえ、一歩間違えれば私達が負けていたわ」
レヴィン選手と私がにこやかに話す隣でルートヴィヒはサイツァー選手に捕まっていた。
「いやぁ、さすが終生のライバルであるルートヴィヒだ。このエルメフィーノ家の僕の本気を受けながらも勝利するなんて。どうだろう。今度君を我が家に招待したい。そして僕らの熱き戦いを、あう!?」
「ルートヴィヒ君が困っているだろうが。まったく。俺達はこれで失礼するよ。次の試合も頑張って」
「痛い痛い痛い。耳を引っ張らないで下さいよレヴィン先輩!!」
レヴィン選手はサイツァー選手の耳を引っ張りながら舞台から去っていく。
サイツァー選手の子守大変だなぁと思いながら二人を見送った。
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