第16話 誕生日のプレゼント
アイリスは先ほどの電話でジョージの誕生日の方が近い事を思い出し、そのプレゼントを探していた。
「へー、お父様がね。だったらネクタイなんてどう?娘から贈られたら喜ぶんじゃないかしら?」
「はい…。」
アイリスはジョージがネクタイをしめる姿を想像しようとしたが、どうしても迷彩柄の軍服姿や、Tシャツ姿しか想像できなかった。
「父上には似合わないかもしれません…。」
「そう?でも一つ持ってると便利だって聞きますよ?」
「なるほど…。」
「どうしてもと言うのならサングラスなんてどうですか?外人さんなら凄く似合うのでは?」
アイリスはサングラスをつけたジョージを想像した。
するとすんなりイメージでき、いかつさに目をつぶればかなり似合うのがわかった。
「じゃあそれにします」
「ステキなプレゼントになりそうですね!」
「そうですね、ありがとう茜」
アイリスは茜なそう言うと、茜は照れながら修へのプレゼントも探してくれた。
「修こそネクタイなんてどうです?お母様が総理大臣ですからよくパーティーに連れ出されるって言ってましたし、いくらあっても困らないのでは?」
「そうですね…。」
アイリスは考えながら少しだけ渋い顔をした。
「ダメでしたか?」
「出来れば普段使い出来る物にしたいんです。私のカチューシャみたいに…。」
「なるほど、そうでしたか…じゃあ…。」
茜が手に取ったのは、ペンの上がライトにもなるボールペンだった。
「これなら色々な場面で使えますし、邪魔にならないかと」
「そうですね…これにします」
まるで店の人の様な茜に背中を押されながら、アイリスはこの二つを購入した。
***
夜、アジトに帰ると、ジョージの姿がなかったのでアイリスは電話をした。
「父上、今どちらです?」
「アイリス、ヤバそうな暗殺者が現れたんで今日は梶原家の側で見守る事にした。悪いが帰れそうにないから飯はいらない、先に寝ていなさい」
「はい父上、無理はなさらないで下さいね」
そう言ってアイリスは電話を切ると、部屋にプレゼントを置き、風呂に直行した。
***
次の日、ジョージの車を学校の前にみつけると、アイリスは窓を叩き、車にに乗り込むと、コンビニで買って来たサンドイッチやコーヒーを渡した。
「父上、お疲れの様ですが大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。俺は少し仮眠をとるから学校での護衛は任せたぞ」
「心得ております。わかりました」
アイリスはジョージが少し心配だったが、そのまま車を降り、修の所へ向かった。
「…テルマ、見張り任せたぞ」
「はいジョージ、かしこまりました」
ジョージはテルマに狙撃の可能性のある場所のみはりをインプットすると、そのまま仮眠をとった。
ジョージの誕生日は明日にせまっていた。
***
「アイリス、浮かない顔でどうした?」
修がそう話しかけると、難しい顔をしていたアイリスはキョトンと目を丸くした。
「別に、何でもありませんが…。」
そう言うアイリスに、修は笑顔で何か訴えかけるように見つめて来た。
暫くその視線に晒されると、アイリスは白旗を上げた。
「ちょっと、大事な人が最近疲れているようで…何か私に出来る事は無いかと悩んでいた所です」
「何だ、それならそうと早く言えばいいのに」
修はそう言って少し考えると、的確にこう言った。
「労ってやるのが一番じゃないか?大事な人ってオヤジさんだろ?」
「えっ?なぜ?」
アイリスが豆鉄砲をくらったような顔をすると、修は意味ありげに笑いながら自分の席に戻って行った。
…なぜわかったのだろうか?
アイリスは少しそれが気になり、後ろの席の修をチラチラと、見た。
修は終始意味ありげに笑い、一日が過ぎて行った。
***
何事もなく、その日はジョージと合流すると
アイリスは修の車の護衛を手伝った。
「そんな新手の暗殺者が…。」
「はいアイリス、防弾で無ければ車のボディに穴が無数に空いていたかと」
AIテルマはそうチカチカ光ながら話し、スキャンした防弾加工した盾の3D画像を表示した。
そこには防弾加工したにも関わらず、歪んでしまった盾の画像が映っていた。
「目の前にして感じたんだが、どうも犯行を楽しんでいるようだった。前捕まえた二人とは明らかに違う。子供と思って油断したら命取りになるかもしれん。アイリス、心してかかれよ」
「はい父上、全力でオサを守ります」
…オサ?
呼び方がちょっと気になったものの、ジョージらそのまま目の前の高級車の護衛を続けた。
そんな時だった、再び前方からコードネーム、レオのバイクが接近して来たのは。
「アイリス!頼んだぞ!」
「はい父上!」
ジョージはハンドルを切り、車体を片側浮かせると、修の乗る高級車との間に入り込んだ。
浮いた窓側からアイリスは顔を出し、レオに向けて構えると、機関銃で発砲した。
…へーやるじゃん。
レオはそう思いながらバイクのハンドルをきりアイリスの攻撃を避け、再び両者は車を止めて睨み合った。
全て一瞬の出来事だったが、両者共に相手の実力を再確認し、その日もレオは笑いながら走り去った。
アイリスは仕留められなかったのが悔しく、苦虫を噛んだような顔をしていた。
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