第15話 忍び寄る暗殺者
ガレージの様な建物の中で、少年少女が集まり、何かを話し合っていた。
「ゲミニの姉弟が捕まったって本当だったのか!?」
一人がそう言うと、その中で唯一の大人でサングラスにスーツ姿の男が頷いた。
「彼らは我が暗殺部隊で一番したっぱだったが、経験豊富な凄腕だった。私も話を聞いた時驚いたよ」
男がそう言うと、皆少しざわついたがすぐに皆黙った?
「彼らはどうなったんです?」
少女がそう尋ねると、男は落ち着いた口調で言った。
「インターポールの手に渡ったと情報屋が言っていた。でも我々の事を漏らす可能性がある。だから皆にはここを出てもらう事になるだろう。新しいアジトはもう用意してある。心配はいらない」
「で?誰に捕まったんだ?」
少年の一人がそう尋ねると、男は困ったような顔をして言った。
「それが正体は不明でな。男とか女とか、複数いたと言う証言もある。デマをわざと流しているようで情報屋もお手上げのようだ。今までにない強敵かもしれない」
「ふーん、じゃあ俺が相手になってやるよ」
頬に星のマークのあるフードを被った少年がキャンディをなめながら銃を持ってそう言うと、男は苦笑いしながら言った。
「レオ、お前が凄腕なのはわかっているが、殺すのは依頼にあった梶原修でゲミニを捕まえた奴らではない」
そう言われ、コードネーム、レオの少年はニヤリと笑うと言った。
「そんな事わかってるよ、みんな殺しちゃえばいいじゃないか、それで問題解決だ」
可愛い顔をして可愛く無い事を言うと、レオはアジトの出入り口の方へと向かった。
「レオ!まだ話は終わってない、どうしてお前はそうして結束を乱すような事をする!?」
「うるせえな、任務をこなせば文句はねーだろ?じゃあな…。」
手をヒラヒラと振ると、レオはそのまま外へ出て行ってしまった。
残された男と少年少女達は静まり返る中、男が手を鳴らすと言った。
「これにて解散とする、他の話はまたの機会に」
男がそう言うと、皆の気配はすぐに消えた。
残された男は深いため息をつくと、全員に渡してある梶原修の写真を見つめた。
***
一方、アイリスはというと。
「おはようロボ子さん!今日もカチューシャ可愛いわね!」
茜がそう声をかけると、アイリスは照れながら言った。
「普通です、茜さんだって可愛いです」
「あらありがとう!そうそう知ってる?今度修の誕生日なんだって!」
「誕生日?」
アイリスが少し考え込むと、茜がアイリスの顔を覗き込み言った。
「誕生日プレゼント、どうしようか考えてたんでしょう!?任せて!今日はショッピングよ!」
茜が目をキラキラさせてあらぬ方を指差してそう言うと、アイリスは何とも言えない顔でそれを見ていた。
***
放課後、茜に連れ出されたアイリスは、アイリスよりも真剣にプレゼントを選んでいる茜の目を盗み、ジョージからかかって来た電話に出た。
「アイリス、警護対象をほったらかして何してるんだ?」
「父上、誕生日なのだそうです。もうすぐ」
「何?」
ジョージは修の乗った高級車の後ろに車をつけながら、ニヤッと笑った。
「そう言う事なら今日はいいぞ、俺がしっかり警護する。その代わり、父さんの誕生日の時も何かふんぱつしてくれよ!」
「はい父上、もちろんです」
「よっしゃー!」
電話を切りそう言うとジョージはガッツポーズをした。
「よかったですねジョージ」
「あぁ、ありがとうよテルマ!」
AIのテルマの音声が光と共に車内に響くと、ジョージは嬉し泣きをしていた。
それもこれも、ジョージは誕生日に武器弾薬しか貰った事がなかった。
やっとアイリスも武器以外を誕生日に選ぶようになったかと思ったジョージは喜びを爆発させたという事である。
「テルマ、お前はどう思う?最近のアイリスについて」
「はいジョージ、とても可愛らしくなられたと思います」
ジョージは嬉しそうに笑うと、ある写真を眺めた。
「お前のようにいい子に育っているよ」
「はいジョージ?何ですか?」
「気にするな、こっちの話だ」
ジョージは写真から目を離し運転に集中すると、向かい側からフルフェイスのヘルメットを被った少年がバイクで走って来るのが見えた。
その少年はスコープをつけた銃を取り出すと、梶原修が乗った高級車を撃とうとした。
「やべぇ!テルマ!」
「わかっています!」
テルマはジョージが乗っている車の側面から防弾加工した盾を出し、ジョージは切り替わったのを見て高級車とバイクの間に車を割り込ませ、修を守った。
「何だ!?何が起こった!?」
修が顔を出すと、バイクとジョージの乗った車は止まり、お互い睨み合った。
そして少年はあるカードを投げてジョージの車のウインドウにそれは張り付き、ジョージは顔をしかめた。
そこにはこう書かれていた。
"今日は挨拶がわりだ、また近いうちに会おう"
少年、コードネーム、レオはそのまま走り去ると、何が起こったのかわらなかった修の乗った車はそのまま走り去り、ジョージはそれをそのまま護衛した。
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