ずっと以前からお猫様の下僕ですから。
そんな微笑ましい会話があちこちで聞かれる。
だが、平和は長く続かなかった。
猫の大群が国会周辺を取り巻いたのだ。
内閣総理大臣は慌てふためく。そして猫の代表と会談した。
「な、なにが不満なのだね」
大臣が恐る恐る聞くと猫は要求を突きつけた。
猫の手を借りておいて利子を払わニャイのはおかしい。
そのころ、都内の至る所を猫が占拠した。
キーボードに座る。通り道で猫ろぶ。モフらせて仕事を滞らせる。
日本だけでない。
ニャーヤーク、カリフォルニャ、バージニャ、ルイジアニャ。
全米、いや全世界で抗議行動が起きた。
そしてついに人間はお猫様に屈した。
今では猫が俺の雇用主だ。
武力で排除する動きもあったが、銃にしがみつく。肩に登る。
戦車の砲身に潜る。エンジンで寝る。電子系統で粗相をするなど、ありとあらゆる阻止行動を受けた。
猫権が認められることにアレルギー患者たちから猛反発があったが、ニャイチンゲールという天才猫があらわれた。
ニャイスな治療薬が開発され、問題は鎮静化した。
それでも猫嫌いから不満の声があがるが、まあ、猫の天下は安泰である。
え、俺か? 俺は、別に問題ないです。
ずっと以前からお猫様の下僕ですから。
俺が猫の手を借りた結果 水原麻以 @maimizuhara
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