ナンセンス

ダウンロードしたソフトウェアを認証するためのキーが印刷されているのだ。

そのためにわざわざ宅配で送るというナンセンス。

もうオンラインだかオフラインだかわけがわからないよ。


「あーあ。何だかなぁ」

うんざりしていると俺の足にやわらかいものがふれた。

「ニャア」

4歳ぐらいのキジネコが肩に乗ってきた。

「うわっ、荷物に毛がつく」

俺は払いのけようとした。するとウニャウニャと話しかけてくる。

自慢じゃないが俺は猫語が少しわかる。3匹も飼っているのだ。

おかえりーと迎えてくれる。

キジネコは俺の愚痴を聞いていたらしく、こう言った。

「お手伝いしますにゃ」

パッと箱を咥えると塀に登った。慌てて追う。にゃんと配達先に着いた。

「お前…」

俺はありがたく猫の手を借りて無事に任務完了した。

猫の機動力は抜群だ。屋根を超え路地を縫い最短距離を駆け抜ける。

報酬は最高級の猫缶だ。それぐらい俺の給料で賄える。

だが連日のズルがすぐにばれた。俺が雇主に白状した内容は光の速さで広まった。

ついに国会で取り上げられ、鳥獣類使役法が成立した。

飼い主とペットの新しい関係が始まったのだ。

愛らしいセールス猫がメール便を咥えて玄関先に来るようになった。

「あら、かわいいわね。ご苦労さん」

「ウニャア♪」

    

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