希望の光
俺はそこに希望の光を見つけた。
「俺」がいくら再生されようが、「俺」という存在そのものに変化はない。
仮に変化する余地を少しでも与えたら、「俺」を管理している輩にとってマズいことになる。
「進化」だ。生物は環境に適応進化する。この俺だって例外じゃない。ある日突然、覚醒した俺に滅ぼされる危険もある。
また逆の可能性もありうる。
「退化」だ。
俺が脱獄を考えることに疲れてしまい、ただ豚の様に堕落する可能性も考えられる。
どちらに転ぼうが「連中」のとっては些細な事だろう。
学術研究目的か娯楽かわからない。
実験動物のように俺があがき続ける様子をつぶさに観察記録しているのだろう。
奴らはずっと張り付いているわけじゃない。
俺と違って日常がある。起きて寝て食う生活だけでなく、愛する家族や友人と過ごす時間もあるのだろう。
しかし、四六時中「この状況に張り付かされている」俺にとっては境遇の格差がある。
俺には何の報酬も救済もないのだ。
五分経てば人生はリセットされる。だが、状況は十分前と変わらない。
五分後も。
五時間後も。
五日間後も。
五年後もだ。
いや、五万年、ひょっとすると五億年かもしれない。
考えているだけでムカついてきた。
俺は変化を後押しすることができる。
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