第5話「終わりなき戦いの地で」

去年の6月には西の果てにいて、

今年の6月には北の果てにいる

荒廃した地では終わりのない戦いが続いている


かつて勢いにまかせて戦場に向かった者も、

国のためという名の大義名分で、

結局は何も見いだせないだけの、

命の捨て場になった


君とこれまで築き上げた関係も、

友人、知人、恋人も、

沢山あった


君のような若者が戦場に行けば、

戻ってくる頃には老人になっているだろうね

あったはずの青春も、取り戻せずにいる姿が

目に浮かぶ


それでも君が、

必ず俺は偉くなって出世するんだと望んでいるならば、

今からでも遅くはない、

考え直せ


僕は君がこの国の人達に向けて歌う姿を目にした

後世まで語り告げられる君を、

僕は今でも見ている

いつまでも


だから、生きて欲しい

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