布団爆弾

施設の前で急停車した。前途を警察や消防が塞いでいる。「何があったんですか?」

運転手が問うと迂回を指示された。爆発の危険があるという。

「祝ホームに用事があるの」

小春が物件の見積書を示すと警官が難色を示した。

「まだガスが充満してます。スプレー缶を処分していたとか…」

従業員が搬送されていく。ちょうど御子が顔をあげた。

「概ね予想通りよ。でも一足遅かった」

証拠を突きつける前に口を封じられた。だが小春は諦めない。

「だったら目には目よ」

タクシーをホームセンターに乗りつけ、ガソリン携行缶を購入した。それを布団でくるみ、二人で担ぐ。徒歩で向かう先は介護施設跡だ。


合鍵を開け、正面玄関からずんずん侵攻していく。奥の浴室をバタンと開けた。

「このまま焼き払ってもいいのよ?」

御子がすごむと砂岩がゆらめいた。

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