第7話 あれから15日後 マリィ視点(2)

((どっ、どうなってますの……!? なっ、なぜ……!? なぜお姉様を言い当てられたんですの……!?))


 声の調子や勢いで、絶対的な自信を持っていたと分かる。

 あの時は全員が膝立ちになっていて、体形どころか背丈すらも分からないのに……。なんであてましたの……!?


『せ、正解です。テオ様、どうして分かったのですか……?』


 おもわず窓から身を乗り出して、2人の様子を見つめる。

 その理由は……。なんなんですの……!?


『理由かい? 分かった理由は、2番目の人がジュリエットだったからだね』


 は?

 2番目の人が、ジュリエットだったから?



 ……。なに言ってますの?



『??? 2番目が私だから、ですか?』

『そうだね。理屈ではないんだよ』


 2人並んで座っていたテオ様は、お姉様の右手にそっと左手を添えた。

 り、理屈じゃない? 本当に、なに言ってますの?


『目や頭で感じ考えるのではなくって、ココ。心――魂で、理解をする。胸の奥にある俺の魂が「この人はジュリエットだ」「愛する人はここにいるぞ」と反応したから、迷わず正解を口にできたんだよ』

『そ、そうなのですね……っ。えへへ……。魂で理解していただけるなんて……っ。テオ様、ありがとうございます……っ』

『こちらこそ、ありがとうジュリエット。俺をこんなにも、夢中にさせてくれて』


 2人は目を細めて見つめ合い、反吐が出そうな甘々な空気が醸し出される。

 キモッっ。キモッっっ。最高に気持ちが悪いですわっ! テオ様の台詞もお姉様の反応も、全てが気色悪い!


((最低……。おもわず見て、損をしましたわ……))


 そのせいで一部始終を直視してしまい、吐きそうになってきた。

 理屈ではなく魂で見抜く男と、魂で理解されて赤面する女。どんなホラーよりもおぞましい、最悪な組み合わせで――


((あれ……? あれ…………?))


 2人の言動に気を取られてしまい、気付かなかったけど……。


((テオ様は……。顔も体型も不明な状態で、写真の中のお姉様を言い当てた))


 と、言う事は……。

 顔や体型が明らかな状態だと、もっと簡単。どんなに上手くお姉様に成りすましても、見破られるんじゃないんですの……?

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