-第11話-準備
授業が終わり生徒の魚群に流されて俺も駅へ向かっていく。
俺は授業が終わったはずの安芸さんを誘うために、ポケットからスマートフォンを取り出してRINEを開いた。
安芸さんとのトーク画面を開くと、朝会話した内容が表示されている。
今日というバナーの下にに吹き出しが表示されているのが珍しくて、こんなにRINEを活用する日が来るのかと嬉しくなる。
『安芸さん。今時間いいかな?』
『うん』『大丈夫だよ』
2分ほどして返信が返ってきた。
授業中と違って話したりしていてスマートフォンを見るのが遅くなったのだろう。
『今度駅前にスイーツバイキングがオープンするみたいなんだけど、一緒に行ってみない?』
『いいね!私も気になってたの』
『いつにする?』
直ぐにこの間のくまのスタンプと共に二つ返事で了承の旨の返信が返ってきた。
やっぱり彼女もスイーツが好きなんだなと、計画が完了まで上手く運べそうで一安心した。
更に向こうから時間を問う内容が送られてきた。俺はいつでも暇なので安芸さんに合わせるか。
『いつでも大丈夫だよ!』
『じゃあオープン当日に行っちゃおっか』
なんと今朝の女子たちのようにオープン初日に行こうと言うのだ。
オープン初日は混んでそうだし出来れば、あまり行きたくないのだが新しいもの好きの日本人は初日に行きたいものなのだろう。
『じゃあ今週の土曜日だよね?』
『そうだね』
『学校終わったあとすぐでいいか?』
『学校からだとちょっと......駅で集合でいいかな』
ノータイムで会話が進んでいく。学校から行くと目立ってしまうから多分駅集合なんだな。
まあとにかく今回のスイーツバイキングで幸せになってくれればいいな。
彼女とのチャットは約束の取り付けが終わり次第すぐに終わった。
今日の朝はもっと会話を続けて彼女の好きなことを探ろうと思っていたが、どうせ今回で終わる関係なのだし、プランも立て終わったのでそんな深く知る必要もなくなってしまった。
「こないだのお店美味しかったね」
「それなー!絶対また行こうね」
俺は駅構内でお互いのことを触りあってイチャイチャしながら、前に行ったであろうデートのことを語り合ってる順風満帆なカップルを横目に見ながら、電車に乗り込んだ。
帰宅してベッドに寝転がり明日のことを考える。
明日は人と出かけるのだから、最低限の準備が必要だ。
いつも通りに振舞ってしまうと、周りから白い目で見られたり安芸さんがせっかく明日のスイーツバイキングが美味しくて楽しませてあげられても、相殺されてしまうかもしれないからきちんとしなければならない。
服は学校から行くから制服でいいはずだ。
つまり大事なのは会話の内容だ。
俺はもう何年も友達と話していないから会話の内容が圧倒的に不足している。
どんな感じに返せば会話が続くのかも分からないし、会話のネタも毎日同じような日々を送っているから無いに等しい。
ネットで会話のコツでも調べてみるか。
『初対面でも会話が盛り上がること間違いなしな会話のテッパンネタ!』といういかにもなサイトがトップヒットででてきた。
クリックしてみるとフリー素材の男の人たちの画像に合わせて趣味の話や将来の夢、学校でのことが学生の会話のネタの主だと書いてある。
俺は趣味も将来の夢もないし、学校でも特に何もしてないから本当に困った。
安芸さんから聞かれた時ように適当に好きな食べ物でも考えておいて、安芸さんにこれらのテッパンネタを聞いてみよう。
スイーツバイキングでもう彼女は純分楽しんでくれるのだから、俺は足を引っ張らないようにすれば大丈夫だよな。
まあ明日で彼女のお願いも達成されて関係も終わりだ。
なんだかんだで色々と考えて楽しかったな。
心配事が解決したところで晩御飯に呼ばれたので、俺はベッドから離れた。
※※ ※※
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
「面白かった」「好き!続き読みたい!ねっ、いいでしょ」という方がいらっしゃいましたら、是非フォローをお願いします!
また、少しでも面白いと思ってくれた方は『☆☆☆』を『★★★』でレビューしてください!創作活動の原動力になります。
お前の作品まだまだだなと言う方も『★☆☆』としていただいても構わないので、是非評価お願いします!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます