Quatre-Mains
月歩
プロローグ
ピアノが好きだった。
久しぶりに帰ってきたお父さんが、僕を膝に乗せて弾いてくれるピアノが大好きだった。
ピアノが好きだった。
サンタさんからもらった補助ペダルを使って、エリーゼのためにを弾いた時のお父さんとお母さんの笑顔が大好きだった。
ピアノが好きだった。
コンクールで賞を取った時に撫でてくれた暖かくてかっこいい父さんの手が大好きだった。
ピアノが好きだった。
どう弾いたって、どれだけ滅茶苦茶に弾いたって、きちんと音を出してくれるピアノが好きだった。
まだ、自分を見捨てないでいてくれる存在が居たって安心出来た。
ピアノはもう、嫌いになった。
補助ペダルも、楽譜も、頭を撫でてくれる父さんも、何もかも。俺を認めてくれる存在はもう何処にも居なくなった。
Quatre-Mains 月歩 @schneeregen
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