悪徳の背徳は悪徳
それにしても随分と僕は罪を重ねたものだ。人生のレールを親に敷かせて恋のさや当てや失恋の傷心から逃れ、理想像に浮気したまま仮面夫婦を演じた。子供に架空の愛情を注ぎ、間男を自爆同然に嵌めた。そしてお世話になった艦長を殺した。駆逐艦隊三番艦は計算された運命をたどった。被弾個所は僕にだけ通知され攻撃の詳細時刻も脱出経路も全て脚本どおり。艦長は任務を僕に託して息絶えた。宙図に未記載の惑星。そこに神がいる。生還する事のない極秘任務だ。だから、軍はお前を抜擢した。
僕は再び雷撃を受けた。間男が仕込みだったなんて。軍は悪魔をおびき寄せる為に五カ年計画を立てて二度延長した。
「そこまで犠牲を払って…」
僕は発砲音に耳を塞いだ。最後の秘密は脳漿とともに散った。
こうして僕は悪魔だか天使だか不可解な者のかいなに抱かれている。
そして、草を踏みしだく音がした。
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