神はどこまで人に隠す
餅は餅屋という様に悪魔は悪運の専門家だ。僕の母艦はご難続きで配属早々に危険任務が割り当てられた。星系友邦は仮想敵の枯渇に苦しんでいる。何しろ最新技術で航行可能な一千光年を虱潰したのだ。母星の属する区域は銀河中心部の恒星密集地で、文明の数も豊富だ。そのターゲットを狩り尽した。連戦連勝とは武力衝突に限った成果だ。原住民が絶滅したり惑星ごと玉砕するなど極端な実例は除き、その大半は居住に不適切だったり植民地経営の失敗だ。搾取どころの話じゃない。そして彼らはとある先進惑星の遺跡で神のレシピを発見した。詳細は不明だが、かつて銀河に播種した超文明の残骸らしい。
「惑星に命を咲かせる創造主っぽいハードウェアらしい」
ここから先は軍機だと断ったうえで艦長は僕達に覚悟を迫った。
神を恐れぬ奴だけ艦に残れ。後は降りろ。これは命令だ。
「軍は模造の神を入手して何をしたいのですか」
質問タイムに若い少佐が挙手した。「公表は差し控える」
そう言われて僕は質問内容を変えた。何故ではなく何をすべきか。
すると艦長は口を開いた。弱者連合から神を守れ。努力嫌いな連中がご利益を狙っている。
つまり、艦隊の至近に神がいる。
そういう事ですかと追加質問すると艦長ははぐらかした。「戦場に死神は付き物だろう」
そこで僕は悪魔に強請った。艦隊は弱者連合に奇襲された。
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