我逢人
N/A
第1話
『重台に止まります』
人が泣いていた。
話しかけたら、行ってしまった。
『次は市楽に停まります』
人が混んできた。
息苦しいし、面倒くさい。
『次は破館に停車します』
人が降りていく。
僕は草臥れていた。長い旅路に。
『次は慈律に停車致します』
隣席の彼女が、手を握ってきた。
『次は書楼に停車致します』
彼女は笑う。僕は苦しむ。
『次は転明に停車致します』
周囲には、彼女だけ。
『次は城京に停車致します』
彼女が降車する。ついて行こうとした。
「ダメ」
最後まで、笑っていた。
『次は神礫』
人が増えてきた。
『次は葉花』
ふと思った。
『次は故郗』
出逢いは奇跡ではないと。
『次は——』
ようやく、私は降りた。
『ご乗車ありがとうございました』
我逢人 N/A @hidersun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます