第8話

「・・・先生」

グーグー


「・・・村先生」


その声に、眼が覚める。


「あっ、山村先生、起きました?」

「君は?」

「先生、寝ぼけないでください。先生のチーフアシスタントの、福原ゆかりです」

「ああ・・・福原くんか・・・」


辺りをみまわす。

数名の人間が、机の上で筆を走らせている。


そっか・・・

もう、夢から覚めたか・・・


「先生、先生の分のペン入れは出来ました?」

「ああ。できたよ」

福原くんに、原稿を渡す。


「では、支持を」

「ここは、こうして・・・」

「はい」


福原くんは、スタッフに原稿を渡していった。


僕は、漫画家。

漫画家の、山村大樹。

ペンネームだ。


今、描いているのは、妖怪マクラ返しを主人公とした作品。

彼と、毎回違うパートナーとの、夢の中を駆け回る話だ。


この度、アニメ化される。


「先生、急いてください」

「どうした?福原くん」

「今日は、声優さんとの顔合わせの日でしょ?」

「そうだったな。わかった」


福原くんは、マネージャーも兼ねてくれている。

ありがたい。

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