第4話

「山村は、進路は決めたのか?」

「ああ。専門学校へ行こうと思う」

「大学に行った方がいいって、みんな行くし」


みんなが行くから、大学に行く。

余程の家庭の事情がない限りは、そうするな。

それなら、みんなが留年したら、自分もするのか?


日本人というのは、長い物には巻かれろ意識が強い。


「森田こそ、プロには行かないのか?」

「何のプロだ?」

「サッカー」

「サッカーにプロはないぞ。何言ってるんだ?」


うっかりしていたが、僕が高校生だったころは、まだJリーグはなかった。

この時代から、数年後に10チームでスタートするが、僕の時間軸ではいくつあるんだ?


覚えられん。


「大学でも、サッカーはやるのか?」

「いや。俺の実力なら、せいぜい高校レベル。大学はキャンバスライフを謳歌するよ」


他愛もない会話をする。

こんなに話した記憶はさすがにないが・・・


「じゃあ、山村・・・俺はここで・・・」

「ああ」


森田は去って行く。


前方を見て納得した。


なるほどね・・・

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