スキャンダル
「モニカ。もう千部追加」
「こんなに刷ってどうなさいます」
邸宅の工房で大車輪が廻っている。魔獣の口から次々に紙が吐き出される。
チェルシアはそうとうお冠だ。書面には中書島閉太の赤裸々が綴られている。
「あいつの全てを世に知らしめてやる」
「ちょ…お嬢様」
侍従の制止を振り切って翼竜が飛び立った。ほどなく街が騒ぎ出す。
「お嬢様?!」
呼べど叫べどチェルシアは窓と扉を固く閉ざし自室ですすり泣いた。
「あいつが悪いのよ。あんな人だと思わなかった」
翼竜がばら撒いたチラシは辺境伯の目に留まった。
「おい、モニカ。こりゃ一体?」
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