次鋒
宇月が直腸に木刀を立てたまま床に沈んだあと腰巾着が馳せ参じた。小太りの江頭だ。拳をブンブン振り回し猪突猛進してくる。
「何? 俺に勝とうっての? 基本に反発する奴が? 夢見るな」
閉太が軽くいなす。
「俺様は宇月さんより強いんだぞ。大切な先輩を護衛するために」
張り手の猛攻が閉太を壁際に追いやる。
「うっわー。ありがちだわ。実は子飼いが無敵でしたという謎隠し」
チェルシアはめまいがした。
「俺の拳は星を割るぜ!」
何を考えたのかカフェテリアの床を殴りつける。
「うう…」
あまりの痛さにチェルシアが転げまわる。
すると、本当に地面が割れた。同時に電撃がほとばしる。
「何をした?!」
閉太が振り返る。江頭は雲間の点になって消えた。
「龍脈を怒らせたのよ。あたしがさっき密告した」
「呻き声じゃなくて呪文かよ。助かったぜ!」
閉太はチェルシアの肩を抱いた。
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