乱闘
「聞き捨てならねえな」
「黙ってりゃ好き放題」
剣士達が乱入してきた。脇差から木刀を抜く。禍々しい蛇の呪符が刃を這っている。当たれば目から火が出そうだ。
志の低さを令嬢が嗤っているとテーブルが転覆した。
やおら閉太は立ち上がり腕で烏骨鶏の型を組む。つむじ風がチェルシアのスカートを巻き上げる。純白の三段フリルが眩い。
「中書島流が何だって?」
ひょろ長い二年生が見下した。予選リーグ同時一位通過の宇月だ。閉太と互角に戦った。だが彼は挑発に応じない。
「その棒きれは我流か? 基本術を小手先だけ弄って魔改造でございってか?」
煽られて卯月が蛇を唸らせる。血のような舌が虚空を舐め回す。
「俺達はひと味違うぜ。ただ教科書をなぞる連中と違って応用を工夫してるんだ。そういう努力しない連中をぶっ倒してナンバーワンになってやる」
するとチェルシアが抗戦した。
「できるわけないじゃん。貴方たち授業をサボって」
「お前らこそ目を覚ませ」
宇月は現状認識を呼びかけた。学校で習う基礎だけで頭角を現す事は不可能だ。
「それカナヘビの亜流だよなあ? 真白師範の術をほんの少し弄って猛らせてる」
閉太はヒョウと口笛を吹いて手招きした。
「独学っていいながら基本に忠実じゃん」
令嬢がダメ押しすると宇月がみるみる真っ赤になった。
「ぃやっかましい!」
次の瞬間。剣と素手が切り結んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます