FACT.3 モンスタークレーマー
その日、その時刻。SNSは燃えていた。
炎上のターゲットはもったいないフードだ。
人気インスタグラマーのお嬢蛾][(ツー)は美食家爆食家だ。もちろん自称だ。フォロワー数は百万人の大台を超える。彼女がバズらせた商品は必ずヒットすると言われ有名企業とコラボしたオリジナルブランドも好調だ。
そんな流行の最先端を追う彼女が選んだのはもったいないフードのおせち料理だ。
「フードロス対策でおせち料理でデリバリーでステイホーム」をコロナ時代の生活様式として紹介した。
そして購入予約から納品まで実況しようと意気込んでいた。
「ポチったよ~」
お嬢蛾][はセールスポイントの愛嬌をふりまけば十万件のいいね!がつく。
大晦日の夜にクール便で到着する予定だった。
しかし、届いたのは通常便。それも配達時刻が大幅に繰り上がった。
「何なの…これ」
恐る恐る開封した。
エビだかカズノコだか昆布だか松茸だかカマボコだか出し巻きだか判別不可能。
ぐちゃぐちゃに崩れた残飯が底抜けの重箱からはみ出ていた。
「もったいないフードがもったいないことに…」
控えめな表現で投稿したが、その写真に「お嬢蛾][ちゃん、可哀相~」とプチ炎上した。
「おせちを通常便で送るとかないわ!」
もったいないフードの公式アカウントが荒れに荒れ不買運動だけじゃ制裁が足りないという過激な意見が続出した。
そして…。
(ざざっつ)
お嬢蛾][に不良品をよこした張本人はもったいないフードではない。悪辣な在日外国人が経営する類似サイト「もったにないフード」から転売ヤーが購入したパチモンだ。お嬢蛾][のライバル女子が私費で競り落とし送り状にX物流センターの名前を記入した。そして通常便でお嬢蛾][宛に送った。
あとは自演で公式サイトを荒らす。それから本当にやらかすまでリプライを煽りまくる。ライバル女子には目算があった。だって世界は深い。
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