崩壊する虚礼

アランは死んだ。カッと白目を見開いて横たわっている。部屋のあちこちがスパークし壁の亀裂が育っていく。

「何なの?これ」

どっと水があふれ出る。撫子の足元に冷たい海水と氷が溜まっていく。逃げようとしたが入口が忽然と消えた。

「ヤダ、このままじゃ死んじゃう。ごめんなさい。アランの代理で謝ります。あたしサンタを続けます」

謝罪が濁流にかき消される。ぐんぐん水位が上昇する。ブルマの裾が水に浸かりそうだ。

「ヤダ。どうすればいいの~」

キョロキョロとある筈のないヒントを検索する。すると彼女の胸元に靴下が流れてきた。それも一足だけ。

「プレゼントなんか要らないのに~」

既に首まで浸かった状態だ。

彼女はとうとう意識を手放した。

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