火砕流

「噴火は迷信だ」

「あの山が爆発するなんてありえない」

「イシス教徒のキャンペーンじゃね?」

天変地異の襲来を軽んじた人々は今日もポーテスのキッチンでオート麦のコースメニューを注文していた。

噴火はいつ起きるのかという大衆の好奇心に専門家が答えられなかったからだ。切迫した危機に対してまるっきり緊張感がない。


いつか来た道だ。たけしの残像がポーテスの警戒心にアクセスしても動じない。

その日。

火砕流は超高速で雪崩下った。砕けた石や溶けた岩が熱風となってふもとまで駆け下りた。東海道新幹線0系なみの猛スピードで街を焼き滅ぼした。


そして歳月が流れた。


「おお、これはまるで時間旅行者の介入だ」

数千年ぶりに発掘された遺構は予想以上に新鮮だった。灰の中に最新の現代アートが混じっていると誰が予測できただろう。


さらに住民らしき人型が冷え固まった溶岩流から発見された。

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