ドラゴンゾンビを一撃で退治する方法

「いいか、よく聞け。神に反する存在だって? 笑わせるんじゃない。造物主が天地創造に際して何でわざわざ邪魔者まで作る必要がある。まったくナンセンスだ。だから、そいつは天にまします我らが父の作品ではないんだよ!」

あまりの発想に現場は静まり返った。ヘリオス・リーマボルトとは斯様に大雑把な性格である。几帳面で緻密なキャラクターではない。仕事は雑だ。ただ過剰な防止策や儀式的で因習めいた工程に合理性を認めない。雑な面を彼なりに自己改革した。だから常識外れな処置を講じる。

そのメスは宗教にも斬り込んだ。

「ドラゴンゾンビは神話や伝承の埒外から放り込まれたんだ。無いものとしていい」

そこまで言うと青筋立てた僧侶に睨まれた。

「つまりお前は神を否定するのか。無神論者め」

ヘリオスはヘルマンで胸倉から腕を払いのける。

「判ってねえなあ。少なくとも創世記には載ってない。別世界の神様だか悪魔だかの産物だ」

ツカツカと従軍神父が歩み出た。麻酔の効かない末期患者や暴れる錯乱者を制圧するため腹筋が割れている。

「黙って聞いてりゃ冒涜しやがって。こいつはサタンだ」

公然とヘリオスの殺害を叫んだ。にわかに風雲急を告げる参謀本部。新妻は無事再会できるのだろうか。

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