無垢の花嫁

その日バッジョは懐かしい母のもとに帰った。過去の非礼を詫び母の愛情に感謝し婚約者の危機を告げた。するとベラの平手打ちを浴びた。

「もう一つお前が謝らなきゃいけない事があるだろう?」

追及されて娘は涙ながらに白状した。四角四面な夫の性格に息苦しさを感じてあろうことか亡き者にしようとした。殺める勇気を邪心に捧げて受難を願った。

「あたしが愚かでした。生真面目で放蕩と無縁の男。理想を絵に描いたような夫。誰もが羨む相手と出会えた奇跡を感謝すべきだった」

「ようやく気付いたのね」

母親は頷くとウェディングドレスに着替えさせた。そして二人で教会に参拝した。

「旦那様の寿命は神様がお決めなさる。その時の覚悟があるのなら祈りを捧げましょう」

神父の言うままに親子は跪いた。「ああ、リーマボルト。どうか無事でいて。神様、お願いです」

するとバッジョの眼前に天使が舞い降りた。彼女は凛と告げた。

「ヘリオスが天の御国で待つ間あなたは独りで天寿を全うできますか」

バッジョはイエスと答えた。

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