残酷なお告げ

「教えて下さい。何があったんです」

安否確認の問い合わせが海軍参謀本部詰所に殺到した。深い結界から先は見通せず門番を困らせている。よよ、と泣き崩れる家族達を従軍僧侶が慰めていた。修道女が炊き出しを配っている。

「心配しないで。私達に出来ることがあれば命がけで支援します。ただ…」

高僧が言いにくそうに真実を告げた。「中で何が起きているか神のみぞしるです」

「そんな!高い御布施を払っているのに何も分からないだなんて」

半ば強制の献金に日ごろの不満が爆発する。

「確実に言えることは…」

権威者の見解を群衆は黙って聞いた。

「神をも畏れぬ存在が水揚げされた。その正体は判らない。ただ参謀本部の軍人たちが無事でいる保証もない…」

生還率は五分五分で最悪の場合を覚悟せよというのだ。

「そんな…確かに婚約破棄を願ったわよ。でもあんまりだわ」

バッジョはへなへなと頽れた。腐乱した龍が獲れたという。噂が本当なら夫はゾンビに…。

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