それぞれの結末:越智和名

「ぐぬぬ…」

姉はモニター画面を睨んでいた。引き籠りとは言え華も恥じらう17歳。液晶で三方を囲まれて筑波山のガマガエルじゃあるまいし脂汗垂らしてる場合じゃない。

「ええい!命短し恋せよ乙女!!」

彼女はやおら立ち上がると意を決した。

「私、結婚するわ」

ドカンと派手にスカートを全開するのは妹の方である。ゴルフボール大の瘤に十字の絆創膏を貼りつつ「はぁ?」と首を捻った。

「どうせ纏められるなら先手必勝よ。挿絵送り付けの真相は誰も知らない。馴れ初めって事にしちゃえばいい。本音は二人だけのヒ・ミ・ツ」

怒涛の展開に美衣の処理能力が追いつかない。

「ちょ。本気なの? 逢った事もない人よ。それに相手の気持ちはどうなの?」

人生をそんな簡単に決めてしまっていいのか。落ち着かせねば。

「あんた文盲?」

どさっとプリントアウトの束を置いて玄関へ駆け出す。

「よっ、四十万字…」

美衣が圧倒されていると声が遠ざかっていく。「おとーさんに報告するね~」

美衣はガチガチ奥歯を鳴らしていた。

「あっ…姉、つおい」

しかしどうやって思いの丈を伝えるのか。相手の連絡手段も安否すらもわからない。

すると巨大掲示板に新しいスレッドが立った。

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