貴女、人を一人殺しているのよ
人の噂も七十五日というがNN21に対しては三日で萎んだ。不人気なスレッドは自動的に非活性化される。別垢による転生も噂されたが候補者は全て無関係だった。一方、考える逆関節の2号は破天荒な絵柄が人気を博して依頼が殺到していた。変顔ものというジャンルも生まれた。シュールな造形でシリアスを演じるギャップが受けている。
和名の死んだ瞳に豚饅頭キャラが映った。逆関節二号先生の新作だ。納品に1時間もかけられない。半年分の受注を抱えている。
「おねーちゃんも変顔にしてやろうか」
「貴女ねぇ。人を一人殺してるのよ」
妹の無神経が気に入らない。元々は和名から出た錆だ。だが悪乗りして筆を折らせたのは美衣だ。最初はちょっと鼻っ柱を挫くつもりでいた。だが軽率も数の暴力になる。
NN21は今ごろどうしているだろう。若い女から嫌がらせを受けて疑心暗鬼に陥ってるのではないか。小説は人という可能性を信じる所から始まる。熱心なファンを装って自分の作品を毀損されれば人間不信にもなる。
和名は天候不順という不可抗力を認めようとしない親や社会を猜疑している。
二言目には「運も実力のうち」という。願掛けもした。開運グッズも買い込んだ。実力をカバーするためにあと幾らつぎ込めば良かったのだろう。
「おねえちゃんってさ。そうやってずっと逃避してるよね」
「お前だってあの男を踏み台にしたじゃん。バラそうか?」
クズ同士が睨み合ってどうする。ただ何がしかの仕事を妹はしてる。
高まる緊張を着信音が破った。
【考える逆関節1号さんの作品がコラボされました】
ファンアートや作者が許可した二次創作を自由に投稿できる機能だ。
「えっ?」
美衣は素っ頓狂な声をあげた。
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