作戦名はライアー・ライアー

「プログラムを止める手立てはないのか!このままじゃ本当にカナダ国境で核が…」

するとプロジェクトリーダーの女は笑った。

「逆もまた真なりよ。陰謀論者を突き動かす神プログラム停止の方法はなくもない」

「うそ。だって、実行されない、って、どういうこと!?」

彼はシステムエンジニア脳で考えた。例えば計算結果は正しくてもエラーメッセージを偽装して実行停止を装うことは簡単だ。

出力処理をいじればいい。


だが、彼は少しアイデアを修正した。破滅の自由党の管理運営システムをダウンさせたところですぐ復旧されるだろう。


「もちろん異常停止を偽装する方法もあるわけだけど、じわじわ故障を拡大していけば混乱に拍車がかかる」

プロジェクトリーダーの女は、いかにも可憐な声で、そう言った。


「でも、真の目的は実行の権限を奪取することよ。責任者はトラブル対応に追われる。しかしシステム全体を停めるわけにはいかない。そこに付け入るの」

確かに宿命という名の神プログラムは予定調和的であるがこの世にトラブルが起きるという事は不作為の付け入る余地があるということだ。

神のプログラムは破ることができる。

それぞれが議論した。

「それもあるということかな。ハッキングまで行かずともリーダー格を除した時点で実行権がないのと一緒だ」


そういう次第でエラーメッセージを偽装するウイルスが作成された。

「ライアー・ライアー」というファイル名で保存された。

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