エピローグ
奇跡が起こった。いや、神の手元が狂ったといえばいいか。
ガンマ線バーストの照射角度が誤差の範囲内で微妙にずれていたのだ。
地球は間一髪で救われた。ただ、膨大な線量は無傷というわけにはいかず、被ばくによる副反応と思われる症状が相次いで報告された。
その最たるものはブレインフォグだ。意識がぼうっとして注意力散漫になる。あまり細かい事を気にしなくなる。
「うーん。目がくらくらしてあまり相手の人種とか国籍とか気にならなくなったなあ」
「人は人よ」
人々は自分と異なるタイプの人間にやさしくなった。
のちに、かかる事態を分析した好事家によれば量子力学の観測者効果に乱れが生じた結果だという。
宇宙の事象という物は観客一体の劇場型であるという。無観客ではどんな現象も成り立たない。
いうなれば砂漠のど真ん中で無観客無配信のワンマンライブを行ったところで、公演しないも同然なのだ。
今回は超新星爆発の観客である人類側に混乱が起きた。
それで公演が中止になった、とこういう次第だ。
人類は人種対立にすくわれてしまったというのは皮肉である。
しかし、禍を転じて仲良くなったのだから結果オーライというべきか。
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